発行:明石書店
この版元の本一覧
B5判 48ページ 並製
定価:1,200円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2428-9(4-7503-2428-0) C0037
在庫あり
奥付の初版発行年月:2006年10月
書店発売日:2006年10月17日
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紹介
自閉症スペクトラムの子どもたちの学習に非常に有効な視覚的支援の方法を様々な実例を挙げて写真やイラストで紹介。家族でつくれる「絵カード」や「情報共有具」など,使えるヒントが満載。巻末には役立つホームページの紹介も。
目次
目から学ぶ
視覚的支援とは何ですか
なぜ視覚的支援をしなければならないのですか
視覚的な支援はうまくいく
どういう時に使うか
あなたならできます!
どんな視覚的支援が使えるのですか
視覚的スケジュール
情報共有具(インフォメーション・シェアラー)
チェックリスト/オーガナイザー(手順書)
行動の視覚的支援
視覚的支援のやり方
画像
その他の材料
マジックテープ
ラミネート
視覚的支援にどれくらいの情報を盛り込むか
うちの子どもの視覚的支援はどうすればいいのですか
取り組むべき課題の選び方
一緒に視覚的支援を組み立てること
視覚的支援の導入
視覚的支援を使う子どもに手を貸す
いろいろな場面で視覚的支援を使う
視覚的支援の効果は、どうしたらわかりますか
子どもの行動が変化したしるし
あなたの行動が変化しているだけでなく、子どもとあなたのことをよく知っている人の行動も変化していますか
視覚的支援はいつやめるのですか
参考文献
付録A 視覚的支援の妥当性を示す論文のリスト
付録B 絵カード作りに役立つホームページ
訳者あとがき
前書きなど
訳者あとがき
本書は、ジェニファー・サブナーとブレンダ・スミス・マイルズの共著になるMaking Visual Supports-Work in the Home and Community: Strategies for Individuals with Autism and Asperger Syndromeの翻訳です。家庭と地域で行なう視覚的支援についての本なので、主に親と家族のために書かれたものです。自閉症スペクトラム(狭義の自閉症やアスペルガー症候群を含む)の人は視覚的な学習者(visual learner)であり、その特性を活かした支援が有効なことは、理論的にも実践的にもいまや常識と言えます。それを家庭や地域社会で実行できるよう、数々の実例を添えた読みやすい本です。本書には、視覚的支援は学校ではしっかり行なわれているので、親は教師に助言を仰ぎながら家庭でもしっかり実践しなさいと書かれています。しかし、わが国の学校現場を見ると、必ずしもそうとは言えず、教師の理解がないために、やむを得ず親が数々の工夫をしているという例は、実は枚挙に暇がないほどなのです。わが国の近代精神医学の草分けである呉秀三のひそみに倣えば、「わが国の自閉症スペクトラムの子どもたちは、実にこの障害を受けたるの不幸のほかに、この国に生まれたるの不幸、さらにはこの教師に受け持たれたるの不幸を重ぬるものというべし」という状況があちらこちらに存在するのです。
ところで、本書に紹介されている視覚的支援の数々の工夫は、主に私たちから自閉症スペクトラムの人へのコミュニケーションの工夫です。つまり自閉症スペクトラムの人の理解を助ける具体的方法です。あくまで理解を助けるために行なうのであり、決してこちらの思い通りに自閉症スペクトラムの子を管理するための道具であってはなりません。自閉症スペクトラムの子どもが状況の意味と見通しを理解することにより、自信をもって行動できるようになってほしいのです。そうなれば支援者への深い信頼感が醸成されるはずです。
しかし、コミュニケーションは双方向性のメッセージ伝達行為であり、相互理解、共通理解を目指す行為に他なりません。したがって、逆の方向の伝達行為、すなわち自閉症スペクトラムの人から私たちに向けた伝達行為についても、それが効果あるものとなるよう支援する必要があることを忘れてはなりません。この場合も、やはり視覚的支援が重要になります。その方法の工夫についてほんの一例を挙げれば、絵や文字を書きながら会話することで、自閉症スペクトラムの子どもの思いや気持ちを伝えるコミック会話という技法があります。また、言葉のない子どもには、絵カードを自発的に手渡すことを教えるPECS(絵カード交換式コミュニケーション・システム)という技法もあります。もちろん他にも支援の方法はあります。
自閉症スペクトラムの子どもの特性に合わせた支援、特に視覚的支援は、多かれ少なかれ一生必要となると考えるべきでしょう。もちろん本当に一生必要なのかどうか、まだ自閉症スペクトラムの老人についての情報がほとんどないので、正確なことは言えないのですが……。しかし、92歳と80歳の老親を引き取って一緒に生活するようになってつくづく感じることは、ワーキングメモリーが少なくなった老人にも視覚的支援は必要だということです。ならば、もともと視覚的支援を幼少時から必要としている自閉症スペクトラムの人には、老年期に入ってもやはり視覚的支援が必要だろうということは想像に難くありません。
もともと本書は、ある読書会で私が訳していくのを、会員の1人である川高寿賀子さんがパソコンに絶妙のスピードで打ち込んでくれたものを、もう一度手直ししたものです。ですから、原稿が完成したのは、川高さんをはじめ、この読書会に参加して根気の続かない私を叱咤激励してくれた会員のおかげです。その読書会の正式名称は『原書を1人では読めない人のための読書会』と言い、通称『Guinnessの会』とされています。読書会の後、ギネスビールを飲みながら情報交換をすることからその名がつきました。現在のメンバーは、川高寿賀子(京都府立向日が丘養護学校)、澤月子(同)、三科哲治(京都府立桃山養護学校)、久賀谷洋(京都市児童福祉センター)、田中浩一郎(同)、福田純子(京都市立東山小学校)です。会員の皆様の気の長いお付き合いに、この場を借りて感謝申し上げます。特に久賀谷さんには、日本の読者向けに、「絵カード作りに役立つホームページ」のリストをつくっていただきました。ありがとうございます。
2006.9.18 敬老の日
門 眞一郎
著者プロフィール
ジェニファー・L・サブナー(サブナー,ジェニファー・L)
ジェニファー・L・サブナー(Jennifer L. Savner, M.S.)は、米国カンザス州ショウニーミッションのショウニーミッション公立学校の行動コンサルタントであり、自閉症とアスペルガー症候群の児童生徒の教育に関して相当な経験を積んでいる。
ブレンダ・スミス・マイルズ(マイルズ,ブレンダ・スミス)
ブレンダ・スミス・マイルズ(Brenda Smith Myles, Ph.D.)は、カンザス大学メディカル・センターの特殊教育部門の助教授であり、自閉症とアスペルガー症候群に関して、著書や論文を多数公刊している。最近のもので邦訳されているものとしては、『アスペルガー症候群とパニックへの対処法』(東京書籍)、『アスペルガー症候群と感覚敏感性への対処法』(同)、『アスペルガー症候群への支援──思春期編』(同)がある。
門 眞一郎(カド シンイチロウ)
門眞一郎は、児童精神科医、京都市児童福祉センター副院長、京都市発達障害者支援センター長、京都大学医学部臨床教授であり、訳書には他に、キャロル・グレイ『コミック会話 自閉症など発達障害のある子どものためのコミュニケーション支援法』(明石書店)、ジュード・ウェルトン『ねえ、ぼくのアスペルガー症候群の話、聞いてくれる?──友だちや家族のためのガイドブック』(共訳、明石書店)などがある。
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