理解と対応のハンドブック軽度発達障害と思春期
古荘 純一
発行:明石書店
この版元の本一覧
A5判 208ページ 並製
定価:2,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2424-1(4-7503-2424-8) C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2006年10月
書店発売日:2006年10月18日
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紹介

軽度発達障害のある子どもにとって,思春期ってどんな時期? そんな疑問に臨床経験20年の小児科医が答える。軽度発達障害についての基本的な知識,思春期に抱えやすい問題とその対応を教師や保護者向けに平易に解説。理解が深まる一冊。

目次

まえがき
第1章 軽度発達障害の基礎知識を理解する
 1 軽度発達障害ってなんだろう
 2 軽度発達障害の特徴と症状
 3 広汎性発達障害で生じる医学的な問題
 4 診断はどのように行われる?
第2章 思春期にはどんな問題が起こりやすいのか
 1 思春期ってどんな時期?
 2 思春期になって発達障害と診断されることはあるか?
 3 思春期に生じやすい問題
 4 ADHDの思春期特有の問題
 5 思春期と精神医学的な問題
 6 少年非行・犯罪の観点からみた発達障害
 7 虐待、不適切な対応と発達障害
第3章 思春期を迎えた子どもたちとどう向き合うか
 1 支援の出発点と原則
 2 軽度発達障害をもつ子どもとその家族への心理・社会的支援
 3 学校で子どもたちにどう対応するか
 4 薬物療法とその対象
 5 親にできること
第4章 事例でみる子どもたちの悩みと支援のあり方
 ケース1 恥ずかしいことがわからない
 ケース2 それでもスカートをはきたい!
 ケース3 クラスみんなの前で結婚宣言!
 ケース4 ひどくなった、パニックやこだわり
 ケース5 いろいろなトラブルを乗り越えて
 ケース6 思春期にはじめて指摘された障害
 ケース7 大学生活になじめない、彼女ができない
 ケース8 注意されるとキレる。ADHDから反抗挑戦性障害に?
 ケース9 ダメだとわかっているけれど、やめられない
 ケース10 ADHDと間違えやすい外傷体験による多動
付録——相談したり、情報を得るために
主な参考文献
あとがき

前書きなど

まえがき
 私は小児科医として、20年余りにわたって多くの発達障害をもつお子さんと、医療の臨床現場で関わってきました。小学校入学前から顔見知りとなった子どもたちのなかには、思春期、青年期を迎えて成人になった人たちもたくさんいます。
 みなさんとの関わりのなかで、私は、その年代、その年代ごとに特有の問題が存在することを臨床的に経験しました。と同時に、それらの問題に医療、教育、福祉などの専門職が適切に対応できていないことも痛感してきました。
 果たして、その状況は変わりつつあるでしょうか。
 確かに、この20年間で、発達障害の概念や診断基準、そして臨床研究も大きな進歩を遂げてきました。当事者のみなさんたちが発達障害についての認知度を高めようと努力されてきた結果、新聞やテレビでも取り上げられるようになり、発達障害関係の書籍も数多く出版されるようになりました。発達障害者支援法が成立し、2007年からは特別支援教育も始まります。社会は大きく変わったといえるでしょう。
 しかし、知識が十分に普及しているとはいえない状況にあるのではないか、と私は考えています。たとえば、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、広汎性発達障害などの診断名は広く知られるようになっても、診断名のみがひとり歩きしているように思われます。また、発達障害の早期診断、早期療育は叫ばれていますが、長期的な観察や思春期、青年期といったライフステージについてはまだまだ十分に語られてはいないのが現状です。
 発達障害をもつ人が、適切な時期に適切な支援を受けられるようにするためには、医師などの医療関係者はもとより、保育、教育、福祉などの現場で子どもたちに関わる職種の人、さらに、発達障害をもつ子どもの保護者の方たちの的確な判断が必要なことはいうまでもありません。
 そう考えたとき、思春期に焦点をあてた書籍が意外に少ないことに気づきました。思春期は、大人になる前にだれもが通る重要な成長段階であり、身体的、精神的、社会的に著しい変化を遂げる激動の時期です。障害をもっている子も、もっていない子も程度の差こそあれ、心身のバランスを崩しやすくなります。発達障害のある子の場合、とくにいらいらしたり、怒りっぽくなったり、周囲から見れば困った、あるいはどう接していいのかわからないような行動が目立つようになったと感じる親もいます。また、コミュニケーションが苦手ゆえに「いじめ」を受けたり、大人と同じような複雑な人間関係を織りなすようになった級友たちから孤立したりなど、人間関係に厚い壁を感じるようになる子もいます。
 思春期は、発達障害をもつ子どもの中核症状である、多動やこだわりは落ち着いてくる一方で、さまざまな精神医学的問題が起こりやすいともいわれています。精神医学的な問題が、からだの症状としてあらわれることもあります。本人が自ら的確に表現できないこともしばしばあります。あるいは、自分でなんとか乗り越えようと、ひとりで悩み苦しむこともあります。本書は、このような「むずかしい時期」である思春期を迎えた発達障害をもつ子どもたちと接する学校の教師や保護者のみなさんに向けて、子どもたちにみられる特徴的な課題、思春期だからこそ気を付けたいこと、さらに思春期にあらわれる可能性がある精神症状についての解説と具体的な対応や支援法を事例もまじえながら紹介します。
 なお、本書は、いわゆる軽度発達障害の方についての記載を中心にしています。重度の知的障害をもつ方には、必ずしも当てはまらない部分もありますが、大部分は参考になると思います。この本が、発達障害に関わる多くの方々の参考になり、みなさんを勇気づけることで、発達障害をもつ子どもたちにとってのよい支援につながることを期待しています。

著者プロフィール

古荘 純一(フルショウ ジュンイチ)

小児科医。昭和大学医学部卒業後、同大学院修了。昭和大学小児科助手、公立昭和病院小児科医長などを経て、現在、昭和大学小児科非常勤講師、青山学院大学文学部教育学科助教授。日本小児科学会、日本小児神経学会、日本てんかん学会、日本児童青年精神医学会の専門医(もしくは認定医)の資格を持ち、川崎市教育相談センター専門員も務める。
【主な著書・論文】
『新 小児精神神経学』(小児医事出版社、2006年)、『子どもの不安に気づくこつ(仮題)』(祥伝社新書、近刊)、「発達障害と虐待」「非行、司法事例から見た発達障害児(者)」加我牧子、稲垣真澄編集『医師のための発達障害児・者診断治療ガイド』(診断と治療社、2006年)。

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