代替刑の提唱死刑廃止に向けて
菊田 幸一:著
発行:明石書店
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A5判 344ページ 上製
定価:6,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2066-3(4-7503-2066-8) C0032
在庫あり
奥付の初版発行年月:2005年03月
書店発売日:2005年03月25日
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紹介

日米以外の先進国では当たり前の風潮となった死刑廃止。本書は,死刑制度廃止論に携わってきた筆者の積年の提言をまとめた論考集。死刑囚の現状,米国各州での廃止経験,国連規約人権委員会の廃止勧告,国会での決議等から,その妥当性を多面的に検証する。

目次

1—日本の死刑
1人間の尊厳と受刑者の法的地位
人間尊厳の普遍性/刑罰における「人間の尊厳」/日本行刑における「人に値する存在」/厳正独居と人間の尊厳/死刑確定者の処遇と人間の尊厳/人権規約と国内法規/人間の尊厳の尊重/付記=受刑者の法的地位
2 国際人権(自由権)規約の政府報告書の検討——とくに生命に対する権利(第六条)について
はじめに/死刑適用の増加/問題のある世論調査/刑法草案の死刑存置/死刑確定者の処遇/死刑事件の裁判/恩赦の路を閉ざす/むすび
3 国連規約人権委員会の死刑論議——第三回規約人権委員会を傍聴して
はじめに/規約人権委員会とは/審議日程と審議事項/政府報告とそれに対する異議/死刑執行停止連絡会議の異議/審議の状況/死刑とその関連条項に関して/NGOの評価/人権規約と選択議定書/審査報告書での提言と勧告/むすび
4 日本の死刑状況と政府報告書審議——第四回規約人権委員会を傍聴して
審議状況/日本政府の人権感覚/死刑の問題状況/国際準則からの問題点/まとめ
5 人権の国際基準と日本の現状——ウォッチ! 規約人権委員会どこがずれてる?
死刑存続の根拠/死刑適用の状況/死刑判決と死刑執行/死刑確定者の処遇/自由権規約と国内法規/人間の尊厳の尊重
2—アメリカの死刑
1 ニューヨーク州の死刑復活
不公平な裁判/死刑執行の経費/政治優先の死刑法/死刑法は容易に適用されない
2 アメリカの死刑状況——『ニューヨーク・タイムズ』紙から
連邦死刑制度に広い不均衡が見られる/死刑制度のない州は、死刑存置州より殺人事件が少ない/日本における最近の動き
3 アメリカにおける確定死刑囚の扱い——ニュージャージー州立刑務所の例にみる
緒言/オリエンテーション/面会プログラム/通信/電話の利用/出版物および小荷物/個人的私用物/仕事の割当/会計処理/処遇/レクリエーション/法律への接触プログラム/懲罰/居住ユニット規則/運営に対する不満救済/個人面接の申し込み/業務係/オンブズマン・オフィス
4 死刑執行抗議集会へのメッセージ
3—日本における死刑囚
1 確定死刑囚の分析
序/確定死刑囚の概況/事件に至る状況/死刑囚になる状況
2 死刑囚・拘置所生活の実態——死刑囚へのアンケートから
概況/居住環境/物品の給付と自弁/面会/手紙の制限/食生活について/運動について/清潔・衛生面について/医療や健康診断について/書籍・新聞・パンフレットなどの閲読について/テレビ・ラジオについて/領置物の管理に関する規則/差入れの制限について/自費購入の制限について/房内規則について/身体検査、捜検、巡視について/信仰生活について/請願作業について/法的機関への連絡について/再審請求について/その他/あとがき
3 「行刑改革会議」の提言と死刑
行刑改革会議の性格/刑事施設法案と死刑条項/確定死刑囚の法的地位/提言と確定死刑囚の処遇/まとめ
4 長期受刑者の諸問題
序/長期受刑者の意味/アメリカの終身刑/日本における無期懲役/長期受刑者の精神状況/長期受刑者の処遇/終身刑導入の問題点
4—死刑廃止に向けて 
1 死刑に代替する終身刑について——アメリカでの現状を踏まえて
日本における死刑代替刑論議/終身刑の種類/終身刑を支持する世論/終身刑受刑者の課題/終身刑の導入
2 死刑執行停止し終身刑の導入を!
3 犯罪被害者救済の問題状況
序/アメリカにおける被害者救済の生成と発展/アメリカにおける被害者救済の背景/日本における被害者問題の状況/死刑廃止と被害者問題/まとめ
4 死刑と人権——世界の潮流と日本
唯一の執行国——慣例化する年二度の処刑/欧州評議会——EU加盟国八三年に「死刑廃止」宣言/第一回世界死刑廃止会議——発端は一通の手紙から/死刑廃止同盟——世界規模で活動展開/ヤンソン報告書——執行国・日本を痛烈批判/日本派遣団——小冊子など配布し、わが国の現状を紹介/日本の事情——死刑執行モラトリアムへ、終身刑の採用を/アジアの事情——「例外の地」脱皮への新潮流/世界会議宣言——「死刑は正義と人権を侵害」/最後通告——日本のオブザーバー資格の停止も/欧州の目——存置国・日本に高い関心/アメリカ——存置州三八、廃止州一二——背景に人種差別の影も/アメリカの死刑——不信・死刑判決の六八%に瑕疵/リープマン調査——崩壊した死刑制度/隣国・韓国では——金大中(前)大統領就任後は執行停止/日本——あえて死刑望まず・世論は終身刑採用へ/与党プロジェクト——終身刑が政治の舞台に/死刑存置論者への橋渡しとしての代替刑

前書きなど

はじめに  死刑廃止を推進する議員連盟は、近く「重無期刑の創設及び死刑問題調査会の設置等に関する法律案要綱」を国会に提出する、と報じられている。その骨子は、1死刑制度調査会の設置、2死刑の執行停止、にある。また二〇〇四年一〇月に宮崎市で開かれた日本弁護士連合会の第四七回人権擁護大会でも「二一世紀日本に死刑は必要か」との主題でシンポジウムが開かれた。同大会では、1死刑執行停止法の制定、2死刑制度に関する情報の公開、3死刑問題調査会の設置、を決議している。  国会および弁護士会において期せずして死刑問題に焦点が当てられたことは、長年にわたり死刑廃止運動に携わってきた者の一人として心から歓迎の意を表明しておきたい。しかし、議連案および弁護士会の決議等は、死刑廃止に向けての一つの手順を示したものであって、具体的手段の提示には残念ながら至っていない。  私は、かねてから死刑廃止への手段の一つとして、1死刑執行停止法の制定、2死刑に代替する終身刑の提唱、をしてきた。議連および弁護士会が終身刑を具体的に提唱していないのには、それぞれの事情と配慮があるのであろうが、今、死刑に関し意識ある国民の多くが求め、期待しているのは死刑に代替する終身刑の導入にあると、私は確信している。そのような具体的提言なくして死刑執行停止は実現できない。  私が微力ながら協力してきた韓国での現在の死刑廃止法案は、当初の仮釈放付終身刑を修正し、仮釈放のない絶対的終身刑を死刑に代替する内容となって、今国会に提出されている。国連の規約人権委員会での日本の死刑に対する勧告でも死刑のモラトリアム実現の手段としての終身刑について触れている。  死刑廃止は、根強い存置論者をいかに廃止に向かわせるかにかかっている。その橋渡しの手段として提唱するのが終身刑である。終身刑には「死刑より残虐である」との批判のあることは承知している。しかし死刑のある今の日本では、その議論は、わが国の死刑がなくなってからでも遅くはない。  本書は、死刑廃止への戦略を紹介してきた、これまでの論文に若干の修正を加えて収めたものであるが、重複の部分はそのままにした。日本の死刑廃止への具体的戦略として役立つならば望外の幸せである。 二〇〇五年三月 著者

著者プロフィール

菊田 幸一(キクタ コウイチ)

1934年生まれ<br>1957年中央大学法学部卒業<br>1964年明治大学大学院博士課程修了<br>1963〜64年カリフォルニア大学犯罪学部留学<br>法務省法務総合研究所研究官補(1962〜67年)を経て、現在、明治大学法学部教授、法学博士(明治大学)、明治大学犯罪学研究所所長、死刑執行停止連絡会議代表世話人、弁護士。<br><br>【主要著書】<br>『犯罪学』成文堂、1971年(現在第6版)。<br>『少年法概説』有斐閣、1980年(現在第4版)。<br>『刑事政策の問題状況』勁草書房、1990年。<br>『死刑廃止を考える』岩波書店、1990年。<br>『いま、なぜ死刑廃止か』丸善出版、1996年。<br>『受刑者の人権と法的地位』日本評論社、1999年。<br>『新版 死刑——その虚構と不条理』明石書店、1999年。<br>『受刑者の法的権利』三省堂、2001年。<br>『日本の刑務所』岩波書店、2002年。<br>その他。

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