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ろう教育と言語権 小嶋 勇(監) - 明石書店
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ろう教育と言語権 (ロウキョウイクトゲンゴケン) ろう児の人権救済申立の全容

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発行:明石書店
四六判
488ページ
上製
定価 4,800円+税
ISBN
978-4-7503-1959-9   COPY
ISBN 13
9784750319599   COPY
ISBN 10h
4-7503-1959-7   COPY
ISBN 10
4750319597   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2004年9月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2015年8月22日
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紹介

2003年5月,ろう学校で「日本手話」による教育を求める人権救済申立が行われたが,その申立を裏づける根拠を言語習得,言語教育政策,言語権などの研究における第一人者たちが論じるとともに,人権救済申立書の全文,さらに申立に関するQ&Aも掲載。

目次

はじめに(全国ろう児をもつ親の会・代表 岡本みどり)
1 言語学からみた日本手話(市田泰弘)
2 ろう児の母語と言語的人権(古石篤子)
3 なぜ二言語教育なのか――言語権の観点から(木村護郎クリストフ)
4 言語権について――国際人権と日本国憲法(小嶋勇)
5 言語抹殺とろう者(トーヴェ・スクトナブ=カンガス著/中村成子訳)
6 学年相応のカリキュラムへ――ろう児に内容が伝わるためのろう教育の基本原理(ギャローデット研究所紀要/澁谷智子訳)
7 水俣学という鏡に映し出す「ろう教育」(板垣岳人)
8 人権救済申立書
9 人権救済申立に関するQ&A(小嶋勇)
付録 人権救済申立とその後(全国ろう児をもつ親の会)
おわりに(小嶋勇)
索引

前書きなど

はじめに  全国ろう児をもつ親の会・代表 岡本みどり  二〇〇三年五月二七日、全国各地のろう児とその親一〇七人が、日本弁護士連合会(以下「日弁連」という)に人権救済申立を行った。申立の概要は「日本手話で教育を受けたい」、「日本手話のできる先生を配置してほしい」というものである。それはつまり「耳が聞こえない子どもには日本手話で授業をしてほしい、わかる言葉で教えてほしい」という当たり前の願いなのだが、わざわざ日弁連に人権救済申立をしなければならなかったのはなぜだろうか? 人権救済申立と同時に出版した『ぼくたちの言葉を奪わないで! ~ろう児の人権宣言~』(明石書店)では、申立にいたるまでの経緯や親の気持ち、そしてろう教育の現状について紹介をした。本書では、ろう児の人権についての理論をさらに深め、国内にとどまらず海外からの文献も紹介しながらグローバルな視点で人権救済申立を検証する。本書は大きく分けて二つの内容で構成されており、前半では今後ろう教育に必須となる言語学などの観点から論じ、後半では申立後、多くの方々から寄せられた「申立の内容をもっと詳しく知りたい!」という声に応えて、人権救済申立書全文とそれに関するQ&Aを掲載する。また付録として、申立から一年間に報道された新聞記事などの抜粋を添付する。 前半は、1で手話学の専門家である国立身体障害者リハビリテーションセンター学院教官・市田 泰弘氏が「言語学からみた日本手話」というテーマで、ろう児にとっての母語は何か? について、そして自然言語としての日本手話の体系について詳しく説明する。2では言語教育政策の専門家である慶應義塾大学教授・古石篤子氏が「ろう児の母語と言語的人権」というテーマで、母語がいかに大切なものであるかをわかりやすく説き、国際法などから今後の方向性を論ずる。3は異言語教育学の専門家である上智大学講師・木村護郎クリストフ氏が「なぜ二言語教育なのか~言語権の観点から~」というテーマで権利としての二言語教育のあり方を述べ、4では弁護士・小嶋勇氏が「言語権について~国際人権と日本国憲法~」というテーマで、今回の人権救済申立の根拠を国際条約、日本国憲法から詳しく説く。5は言語権の研究における世界的権威であり、バイリンガル教育の学者でもあるデンマークのロスキレ大学教授、トーヴェ・スクトナブ=カンガス氏が「言語抹殺とろう者」(中村成子訳)という観点から、言語権とろう者の関係に迫った。これは二〇〇三年の「世界ろう者会議」で行われた氏の講演を本書のために文章化した最新の論稿である。日本のろう児が置かれている現状と、世界で話し合われているろう児の言語権に関する認識との間の落差に注目したい。6ではアメリカのギャローデット研究所紀要「学年相応のカリキュラムへ~ろう児に内容が伝わるためのろう教育の基本原理~」(澁谷智子訳)を掲載。これは他の最新論文とは違って一九八九年のものであるが、歴史に残る貴重な資料であることと、アメリカで一五年前に報告されたろう教育の失敗が、現在の日本のろう教育が抱えている問題に酷似していることから、新たに翻訳することにした。聴覚口話法からトータル ・コミュニケーション法へ、そしてバイリンガル法へと移行していった理由が明らかとなる。7では全国ろう児をもつ親の会事務局長・板垣岳人氏が「水俣学という鏡に映し出す『ろう教育』」というテーマで水俣学を通してろう教育の問題点を分析し、本来のあるべき姿への転換を提案する。ろう教育のまっただ中にいる親からの声としてたいへん示唆に富んだ内容である。 後半は、8で、日弁連に提出した「人権救済申立書」全文を掲載する。プライバシーに関わる箇所については、申立人の承諾を得て、削除したりアルファベットに置き換えたりして、新たな人権侵害とならないように配慮してある。9に、申立に関する一四のQ&Aを掲載する。例えば、「なぜ訴訟を起こさず人権救済申立にしたのか?」「日本語に対応した手話でもよいのか?」などについて、小嶋弁護士が答えていく。 以上のように、本書は大変読み応えのある内容になっている。本書のようなろう教育の根幹に関わる論文・情報が、これまでに専門家や国の研究機関から出されていないのは大変残念なことである。聴覚口話法を推進するための、つまり“聞かせる”“しゃべらせる”ための情報は山のようにあって、教員も親もそれらに翻弄されてきた。今回本書に掲載した内容は、ろう教育に携るすべての方々に熟知していただきたい理論であり、またわが子が聞こえないと診断された親たちにとってまず知りたい情報である。今までこれらを知らなかったために、どれほど多くの親子が不必要な苦しみを味わい、無駄な時間を費やしてきたことだろう。日本のろう教育も一人ひとりに合った教育環境を選択できるように一日も早くなってほしい。そのための第一歩が今回の人権救済申立なのである。  本書の執筆者はそれぞれの専門分野の第一人者である。ただし必ずしもろう教育の専門家ではない。それにもかかわらず、私たち「全国ろう児をもつ親の会」からの原稿執筆のお願いを快諾されたのは、日本のろう教育の現状を知って驚かれたからである。それを改善するためならと専門分野の知見を惜しみなく提供してくださった。 小嶋弁護士は、千葉・星・田中弁護士らと共に六年前からろう児のために奔走され、今回は本書の監修を引き受けていただいた。そして、成人ろう者は自らの存在をもって私たち親の心を揺さぶり続けてくださった。彼らのおかげで私たちは“ろう児の人権・人間としての尊厳”について正しく認識できるようになった。また本書の企画・編集にあたっては明石書店編集部に大変お世話になった。以上、すべての方々に心よりお礼を申し上げたい。

著者プロフィール

小嶋 勇  (コジマ イサム)  (

 中央大学法学部法律学科卒業。1995年4月弁護士登録(東京弁護士会)、2001年7月勇法律事務所開設、1998年4月から東京弁護士会子どもの人権救済センター相談員。現在、中央大学法学部講師(法曹演習)、日本大学大学院法務研究科講師(公法)。<br> 主な著書・論文に、伊藤正己・園部逸夫編集代表『現代法律百科大事典』(分担執筆、ぎょうせい、2000年)、「犯罪被害者と人権」(『日本大学司法研究所紀要』第12巻、2000年)、「憲法と国際法と国内裁判所」(『日本大学司法研究所紀要』第13巻、2001年)、「憲法と裁判を受ける権利」(『日本大学司法研究所紀要』第14巻、2002年)、『ぼくたちの言葉を奪わないで!~ろう児の人権宣言~』(分担執筆、明石書店、2003年)など。

全国ろう児をもつ親の会  (ゼンコクロウジヲモツオヤノカイ)  (

ようこそ! 素晴らしいろう児をもつお父さんお母さん<br>聞こえないということは決して悲しいことではありません。<br>日本手話やろう文化について理解して<br>楽しく子育てをしていきましょう。<br><br>〔目的〕<br> いままでの我が国における「聴者に近づくためのろう教育」を見直し「ろう児のためのろう教育」を推進する。またろう児の「教育を受ける権利」が遂行されるように以下のことを文部科学省、各教育委員会、各ろう学校、社会全般に訴え改善することを目的とする。<br> (1)ろう学校における教育言語として日本手話を認知・承認すること<br> (2)ろう者の教員を各ろう学校に配置すること<br> (3)聴者教員は日本手話を定期的、継続的に研修すること<br> (4)バイリンガルろう教育を選択できるようにすること<br><br>〒100-8694 東京中央郵便局 私書箱1670号<br>全国ろう児をもつ親の会<br>FAX  03-3761-9905<br>e-mail: at_home@hat.hi-ho.ne.jp<br>http://www.hat.hi-ho.ne.jp/at_home/

上記内容は本書刊行時のものです。