発行:明石書店
この版元の本一覧
A5判 240ページ 並製
定価:2,200円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-1901-8(4-7503-1901-5)
在庫あり
奥付の初版発行年月:2004年05月
書店発売日:2004年05月20日
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紹介
異同について意見が分かれているアスペルガー症候群と非言語性学習障害について,子どもたちとその親に向けて平易に解説した本。それぞれの障害と関連の症状,それぞれに対する対処・指導方法と今後予想される課題などをとりあげる。
目次
この本を読むにあたって
はじめに
第1部 非言語性学習障害およびアスペルガー症候群と関連のある症状の概観
第1章 非言語性学習障害およびアスペルガー症候群とは
非言語性学習障害およびアスペルガー症候群:目に見えない障害/神経行動学的障害とは/一般的な学習障害について/非言語性学習障害/脳:現在の理解/非言語性学習障害は、どのくらいよくある障害なのか/非言語性学習障害の診断/アスペルガー症候群/非言語性学習障害とアスペルガー症候群に重複する症状/アスペルガー症候群と高機能自閉症
第2章 長所と短所
はじめに、よい知らせから:長所/短所:でも、それは必ずしも悪い知らせではない/視覚-空間処理と感覚-運動統合/情報処理と組織化・系統化スキル/ソーシャルスキルと実践的言語の発達
第3章 非言語性学習障害やアスペルガー症候群の子どもを理解することが、なぜ重要か
プログラムの必要性/注意欠陥障害/不安障害/強迫性障害/地区の教育委員会の診断対臨床診断/非言語性学習障害とアスペルガー症候群の継続教育の必要性
第2部 非言語性学習障害とアスペルガー症候群の影響
第4章 異なることばを話す子どもたち:ソーシャルスキルの発達と
社会的情緒的機能/システムが故障しているところ/言語の相互作用性を理解できないこと/複数のレベルの社会的やり取りを同時に把握する能力の欠如/思春期:最後の注意
第5章 空間での混迷:視覚-空間処理と感覚統合
視覚-空間処理に関する問題/感覚統合
第6章 問題の根源:情報処理と組織化・系統化の問題
実行機能/日課とかたくなな思考/情報の蓄積:タンスの引出し/遅い処理速度/比喩、類推、ユーモア/宿題と教室での課題/的のはずれた詳細に注目すること/新しい状況/感情の遮断と行動上の問題/情報処理の障害
第3部 何をすればよいのか? 対応と計画
第7章 「わかること」:情報の組織化・系統化スキルと
情報処理の障害への対処/情報処理の障害/組織化・系統化の問題/目新しい情報の処理/目新しい状況におけるストレス/情報の蓄積:情報をまとめて組み立てる能力/ストレス管理と効果的な指導
第8章 学び方を身につける:学習体験を成功させるための指導
計画的な社会体験の活用/より高度な社会的要請に応えるための計画/じっくり時間をかけること/結果の予測/新しい対処方法/注意力と集中力の維持/時間管理の問題/計画し行動しよう/勉強のやり方/マルチタスキング/概念の形成と学習における問題/勉強のスキルと宿題/教える際に留意すること
第9章 動きのなかの身体:視覚-空間処理と感覚-運動統合の障害に対処する
触覚の敏感さ/聴覚の敏感さ/臭いと味への敏感さ/感覚統合の技術/「運動中の物体」/書字障害/その他の必要な援助/以上の指導や援助について最後に一言
第10章 社会的能力:自己、他者、自尊感情についての問題点
社会的なつながりを困難にするもの/鏡を覗き込むことと窓から眺めること/他の人たちに気づくこと/単純なソーシャルスキル:容易ではないが、そんなに複雑ではないもの/複雑なソーシャルスキル/自己焦点化の問題/新しいものを避ける/からかうこと、からかわれること/すべてを総合する/結語:自尊感情について
第11章 将来には何が待っているのか
「なんとかやっている」以上の取り組み/効果的プログラムの開発/振り子の揺れ/家族への影響/特別支援教育サービスを受ける資格/アセスメント/成人への移行/これからの研究
第12章 資源とプログラム計画
知ることが第一歩である/アセスメントと評価/教育プログラム/インターネットサイト/さまざまなプログラム/親が利用できるその他の資源
付録
A 非言語性学習障害の診断
B アスペルガー症候群の診断基準
C 教室内に「あったらいいな」リスト
D 非言語性学習障害の子どもたちのための活動
E 情報処理の障害
推薦図書
参考図書・文献
あとがき
索引
前書きなど
はじめに この本を書く機会が与えられて大変感謝しています。わたしは、過去3年間、わたしたちのもとにゆだねられた非言語性学習障害(NLD)とアスペルガー症候群(AS)のティーンエイジャーの生活に変化をもたらそうと、日々、ひたむきに打ち込んで働いている、いわば、最前線にある人たちの活動に参加してきました。この3年間は長い旅路で、発見もあれば、失敗もありました。この本のおかげで、わたしはこれらの障害に関して、真実であると信じている見解について整理し提案する公開の機会を与えられました。何年か経てば、これらの見解がより深い知識の基礎となっているかもしれません。逆に、ほとんど意味がなかったという結果になるかもしれません。どちらにしても、そのような変化の過程には胸が躍りますし、この分野の未来に対して、わたしはとても大きな希望を抱いています。 児童心理を専門領域とする者として、この仕事を通じて、非言語性学習障害やアスペルガー症候群の子どもたちやその家族とともに働くという特権を与えられてきました。長年にわたって、わたしは他の人たちと同じように、これらの子どもたちに対する自分の治療が効果をもたないという大きな悩みを抱えてきました。毎週行うソーシャルスキルのためのグループ治療、個別の指導、アセスメント、そして家族療法は役に立ちましたが、本当の意味での変化はあまり認められませんでした。もっとも効果がみられたのは、個別教育計画(IEP)の会議に子どものための代弁者として参加した際に、非言語性学習障害やアスペルガー症候群の子どもたちに成功をもたらすようなプログラムを、子どもの在籍する学校において開発できたときでした。それでも、問題は明らかに存在し、これらの成果といっても限られたもので期待はずれのものでした。 1998年、幸運なことに、これらの子どもに関するビジョンを共有し、信じられないくらいひたむきに打ち込んでいる人たちのグループに出会い、ともに働き始めることができました。そのビジョンとは、非言語性学習障害やアスペルガー症候群の子どもたちにとって卓越した教育とは何か、という概念を中軸に据えたプログラムの創造でした。このプログラムこそが、この本に紹介されている多くのアイデアを具体化するものとなりました。しかも、これらのアイデアを単にいまあるプログラム上に修正したり補助的なサービスとして付け加えるのではなく、この教育プログラムの眼目として、これらのアイデアが存在したのです。わたしたちが心に描いた高校、オライオン・アカデミーは、2000年9月にカリフォルニア州モラガに開校しました。この本を書いている現在、ちょうど開校後1年が経過したところです。素晴らしく胸を高揚させる1年であり、多くの成功と思いがけない喜び、そして、もちろん、いくつかの失敗を含みこんだ1年でした。 ここで率直に申し上げなければなりませんが、ぶしつけな言葉で傷ついたり、事実を記述するにあたって「穏やかな」やりかたを好む人たち、つまり、事実を遠まわしに表現することを好む方々には、この本は読みづらいかもしれません。わたしは、元来、飾りのない話し方が好きですが、非言語性学習障害やアスペルガー症候群の子どもたちと仕事をするなかで、直接的で正確な表現を避けることは何の役にも立たないという、わたしの信念は強められるばかりでした。この本を有用だと認めてくれない保護者の方々が理解に乏しいとは思いませんが、わたしがその方々にもっとも役に立とうと思えば、わたしが真実だと考えていることを伝えなければならないと感じています。 わたしの信念のいくつかが間違っていることが、後になって、わかるかもしれません。非言語性学習障害やアスペルガー症候群についてまだ多くのことがよくわかっていないからです。けれども、広く受け入れられている一般的な情報だけではなく、わたしや文中で引用した人たちの意見もはっきりと示すつもりです。わたしが「ディスオーダー(障害)」や「ディスアビリティ(障害)」といった用語を使っていることに気づかれるでしょう。このことは、非言語性学習障害やアスペルガー症候群の人たちが他の人たちに比べて価値が低いとか能力が劣っていると、わたしが考えているからではありません。その逆で、わたしは、これらの人たちの未開発の能力が、かれらの抱えている問題の厳しさを否定しようとする試みの陰に埋もれて見えなくなっていると思います。非言語性学習障害やアスペルガー症候群の子どもたちが成長するにつれて、「ディスオーダー(障害)」とか「ディスアビリティ(障害)」ということばは、よりよい変化への出発点であって、何の希望ももたらさない最終点ではないのだということを認識しようとする必要があります。そうでなければ、よりよい変化は決して生み出せません。わたしがこの15年間一緒に仕事をしてきた多くの子どもたちとティーンエイジャー一人ひとりが、かれらの生活のあらゆる側面に影響を与える障害と格闘している素晴らしい人たちで、かれらの抱えている障害がどのような影響を与えているのか、わたしたちはやっと気づき始めたところなのです。かれらのケアをするわたしたち大人の役割は、かれらを支援し慈しむことですが、同時に、本当は到達することができるはずの基準に達するよう、かれら自身に責任をとらせることでもあります。(中略) 読者の方々にとって、この本に示されたアイデアが役に立ち、有益な情報を含み、魅力あるものと感じられ、皆さまの仕事や家庭生活に取り入れてくださることを願っています。また、非言語性学習障害やアスペルガー症候群に対する考え方が、より幅広いものとなりますように。そして、もっとも大切なこととして、この本がきっかけとなって、読者の誰かがこの仕事に加わり、非言語性学習障害やアスペルガー症候群に関して、わたしたちの共有する知識を広げ、わたしたちの治療のための教育・指導をさらに効果あるものとしてくれることを切望しています。
著者プロフィール
キャスリン・スチュワート(スチュワート,キャスリン)
Kathryn Stewart(キャスリン・スチュワート)<br>カリフォルニア大学、サンフランシスコ州立大学大学院で心理学を学び、ライト研究所において博士号取得。小児期と思春期の心理学を対象とする臨床心理学者として活躍する。非言語性学習障害ならびにアスペルガー症候群の子どもたちの学習のためのプログラム開発に従事してきた。2000年9月カリフォルニア州モラガにオライオン・アカデミーを開校し、実践を行っている。著書に“What's in A Name ? Nonverbal Learning Disability and Asperger's Syndrome”, Educational Therapist, Spring / Summer 2002, Vol.23など。
榊原 洋一(サカキハラ ヨウイチ)
1951年生まれ。1976年東京大学医学部卒業。医学博士。現在、東京大学医学部小児科医講師。専門は小児神経学、発達医学。著書に『ヒトの発達とは何か』(1995年、筑摩書房)、『オムツをしたサル』(1997年、講談社)、『多動性障害児』(2000年、講談社)、『アスペルガー症候群と学習障害』(2002年、講談社)、『ドクターサカキバラのADHDの医学』(2003年、学研)『育児の百科』(共著、2003年、小学館)など。
小野 次ロウ(良の右に月)(オノ ジロウ)
1978年大阪大学医学部卒業。小児神経科医。現在和歌山大学教授。オハイオ州立大学コロンバス小児病院臨床薬理部門クリニカル・フェロー、大阪大学小児科助手、市立豊中病院小児科部長、大阪大学小児神経グループチーフを経て現在に至る。著書に『医療的ケアネットワーク学齢期の療育と支援』(共著、2001年、クリエイツかもがわ)、『教育現場における障害理解マニュアル』(編著、2002年、朱鷺書房)、『小児看護病態生理疾病論』(共著、2004年、廣川書店)など。
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