書店員向け情報 HELP
出版者情報
在庫ステータス
取引情報
インドの女性問題とジェンダー
サティー(寡婦殉死)・ダウリー問題・女児問題
原書: DEATH BY FIRE: Sati, Dowry Death and Female Infanticide in Modern India
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2004年2月
- 書店発売日
- 2004年2月10日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2015年8月22日
紹介
サティー,持参金問題,そしてショッキングなほど減少している女児の人口……。実際起きた事件への綿密な取材を通し,現代インドの女性にかかわる重要な問題の要因を浮き彫りにする。『インド盗賊の女王~プーラン・デヴィの真実』の著者による迫真のルポ。
目次
日本語版の読者へ
序文
第1章 一九八七年、ループ・カンワールのサティー
第2章 インドと西洋の歴史の中でサティーをめぐる反応
第3章 宗教的というよりも政治的な背景
第4章 ラージャスターン州におけるサティー賛美
第5章 南インドでセルヴィに再会
第6章 セルヴィの身に起こったこと
第7章 セルヴィの「事故」とその後
第8章 タミルナードゥ州の女児問題
第9章 寺院都市マドゥライ周辺
第10章 一九九五年、インド北西部とループ・カンワールの婚家を訪ねて
第11章 西ベンガル州の寡婦殉死とラージャスターン州のサティーの違い
第12章 サティーのあった当日
第13章 ループ・カンワール事件をめぐる証言
第14章 誰が火をつけたのか?
第15章 ジャイプールからデリーへ、ダウリー問題
第16章 寡婦の町ヴリンダヴァン訪問とベナレス
第17章 レイプやその他の事件
第18章 インドで初めて有罪宣告されたカルパイーの事件
第19章 タミルナードゥ州カッラル族にある慣習
第20章 カルパイーと娘たち
第21章 ジャイプールの女性活動家や弁護士
第22章 一九世紀のベンガル州の社会改革とジェンダー関係
第23章 一九九七年、ループ・カンワールの婚家再訪と発見
あとがき
訳者あとがき
前書きなど
本書はマラ・セン(マーラー・セーン Mala Sen)"DEATH by FIRE", Weidenfeld & Nicolson, London, 2001を翻訳したものです。マラ・センといえば"India's Bandit Queen : The True Story Of Phoolan Devi"の著者として有名です。この本を元にして彼女が台本を書き、シェーカル・カプールが監督をした映画"Bandit Queen"(日本では『女盗賊プーラン』というタイトル)でも名前を知られています。私は彼女の本を翻訳し、『インド盗賊の女王 プーラン・デヴィの真実』を一九九八年に出版しました。その前後からイギリスの自宅に何度か訪問をし、私たちはプーラン・デヴィに会ったときのことや、インドのことなどさまざまなことを話し合ってきました。その間に二〇〇一年七月二五日に国会議員になっていたプーランが暗殺されるという悲劇もありました。マラ・センが本書を執筆しているときから完成したときにはまた翻訳をしたいと思っていました。そして本書が彼女の二冊目の著書であり、私が彼女の本を翻訳するのもこれで二冊目になります。 本書は副題が示すように今日のインドで最も重要な三つの問題に焦点をあてています。寡婦殉死(サティー)、ダウリー問題、女児の問題です。寡婦の問題はインドで重要な女性問題の一つですが、寡婦殉死の問題を中心に扱っている本は日本で本書が初めてではないでしょうか。インドで妻であることは社会的地位がありますが、知人たちが寡婦になると周囲の状況が一変するのを見てきました。また、結婚して間もない一八歳のループ・カンワールが一九八七年九月四日にラージャスターン州のデオラーラ村で亡き夫と一緒に生きながら焼かれたニュースが新聞で報道されたときに、私はちょうどニューデリーのホテルでその新聞を読みながら、デオラーラ村に行ってみたいと思いました。しかし、ラージャスターン州の小さい村、デオラーラにジャイプールからどのようにいけばよいのかはっきりわからず、インド滞在の日数も限られていたためにその時は実行できず、その後何年も歳月がたってしまいました。本書でマラ・センがジャイプールからタクシーで日帰りしているのを知り、今年(二〇〇三年)九月にデオラーラ村に行きました。そして、ループ・カンワールの婚家や彼女がサティーをした跡地などを訪ねました。 ダウリー問題についてはちょうど私がインドに暮らすようになった一九七八年頃から北インドで騒がれるようになったために、南インドでも実態があるのは知りながらも感覚的に結びついていなかったように思います。今日では北や南にかかわらず小さい農村にまでダウリーの慣習が入りこみ、女児の命を奪う原因となっていることを改めて実感しました。(後略)
上記内容は本書刊行時のものです。