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現代日本の「見えない」貧困 青木 紀(編著) - 明石書店
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現代日本の「見えない」貧困 (ゲンダイニホンノミエナイヒンコン) 生活保護受給母子世帯の現実

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発行:明石書店
四六判
264ページ
並製
定価 2,800円+税
ISBN
978-4-7503-1770-0   COPY
ISBN 13
9784750317700   COPY
ISBN 10h
4-7503-1770-5   COPY
ISBN 10
4750317705   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0336  
0:一般 3:全集・双書 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2003年8月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2016年9月20日
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書評掲載情報

2016-07-10 朝日新聞  朝刊
評者: 湯澤直美(立教大学教授・社会福祉学)
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紹介

社会的な課題が,個人の努力課題にすり替えられてしまう「貧困問題」。綿密な調査によって貧困が貧困を再生産していくことの痛み,社会的不平等の存在を,もっとも集中的に表出する母子世帯を中心に論証し,社会的保障の立場から課題と展望を明らかにする。

目次

序 章 貧困の世代的再生産の視点…青木紀
 1 問われてこなかった「貧困の世代的再生産」
 2 貧困の世代的再生産分析の社会的意義

第1章 貧困の世代的再生産の現状―B市における実態…青木紀
 1 調査世帯の概要と貧困の世代的再生産の「事実」
 2 貧困・不利の世代的再生産の諸側面と連鎖の構造
 3 家族形成過程における不利の移転
 4 経済状況とネットワークに見る不利の構造
 5 今後の展望をめぐって

第2章 貧困と子ども…小西祐馬
 1 社会階層と子どもの生活・意識
 2 日常生活と学校体験
 3 将来展望

第3章 社会的不平等と一〇代の性…鈴木佳代
 1 高校生の生活状況・将来展望と性行動
 2 社会的不利とハイリスクな性行動
 3 若者の分化と性行動・性意識

第4章 家計と管理の階層性…鳥山まどか
 1 世帯の資源
 2 資源の階層性
 3 子どもの教育・進学と家計管理
 4 資源と家計管理

第5章 貧困家族とスクール・ソーシャルワーク…岩田美香
 1 親の生活条件と子どもの生活
 2 問題解決と家族

第6章 貧困家族の自立支援とケースワーカー…杉村宏
 1 「保護依存」の現実
 2 生活保護世帯の自立
 3 自立阻害要因と「自立」支援

第7章 アメリカの貧困家族と自立支援の現実…青木デボラ
 1 オハイオ州における福祉改革
 2 オハイオ州における福祉改革の影響

終 章 課題と展望―「見えない」貧困を見えるように…青木紀
 1 社会的不平等・貧困の影響と連鎖の構造
 2 貧困・不平等意識あるいは認識と「階層性」
 3 「貧困の世代的再生産」を断ち切る教育福祉的視点

前書きなど

 出口どころか、なお底も見えないままに続いている未曾有の不況。失業の増大、賃金切り下げ、年金切り下げ、医療費や教育費の増大など、いわゆる生活不安はますます深刻化してきている。中高年の自殺やホームレス問題、あるいはセーフティネットとしての生活保護制度などが、特集記事として新聞などにも大々的に掲載されるなど、ようやく「遠くの貧困」ではなく、「近くの貧困」が語られ始めたかに見える。だが、どこまで貧困の現実が見えているかといえば、はなはだ心細いようにも思う。 二つの意味において心細いのである。一つは、たとえばホームレスの人々の存在への共感と差別は、たびたび新聞やメディアが取りあげるものの、生活保護受給家族や母子世帯として児童扶養手当を不可欠としている家族などの貧困は、地域社会のメインストリームからはずれ、いわば潜在化されて存在しているがゆえに、現実の規模に比較して、なお一般に目に見えにくいことである。今一つは、本来的にはアドボケート(擁護・代弁)すべき関係者においてさえ、現実の彼らが抱えている生活困難・貧困をBlaming the Victim(犠牲者に責任を転嫁すること)する傾向が強いことである。いいかえれば、貧困は個人や家族の頑張りで克服されるものである、という神話はなおきわめて根強く、これが社会問題としてとらえられている(見えている)とはいいがたいからである。なぜ「個人主義」という言葉が好意的に語られないわが国で、貧困問題が社会的でなく、個人主義的な努力課題に安易にすり替わってしまうのだろうか。 しかし「見えにくい」中でも、よく目を凝らして地域社会を見ると、しばしば欧米諸国で議論され、アングロサクソン系諸国のアメリカやイギリスで問題にされているような、貧困が世代的に継続している事実も浮かんでくる。またとくに低所得者層向けの公営住宅においては、似たような家族の一種のコミュニティが形成されてきている。さらに、子どもの成長・発達といった点に注意を払いながら、いわゆる社会階層的な視点で大量観察をすると、そこでは間違いなく親の不利は子どもの不利と関連していることが見えてくる。とすれば、経済的・社会的に不利を負った階層の家族の現実はどうなっているのか。その不利はいかなる形で「再生産」されているのか。われわれの最大の関心はここにある。(後略)はしがき 青木紀

著者プロフィール

青木 紀  (アオキ オサム)  (編著

1948年愛知県生まれ。<br>京都大学大学院農学研究科農林経済学専攻博士課程単位取得退学。<br>東北大学農学研究所・農学部助手、北海道大学教育学部助教授を経て、現在、北海道大学大学院教育学研究科教育臨床講座教授(教育福祉論・農学博士)。<br>〈主要著書・論文〉<br>『日本経済と兼業農家』農林統計協会、1988年。<br>『地域福祉史序説』(共著)中央法規、1993年。<br>『組織の時代』(共著)農林統計協会、1994年。<br>『貧困・不平等と社会福祉』(共著)有斐閣、1997年。<br>「個人主義とソーシャルワーク」『教育福祉研究』第4号、1998年。<br>「アメリカの高校改革と不平等問題」『生涯学習研究年報』第4号、2000年。<br>「アメリカにおける教育と福祉の連携」『北海道大学・大学院教育学研究科紀要』第85号、2002年、他多数。

上記内容は本書刊行時のものです。