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ピンクや淡色のかわいい装丁

家族・夫婦・男女論の一般書を読みあさっている。
女性向けに書かれたものも、男性向けのものも
「で、なんなのよ?」といいたくなる具体のない精神論のものが多く、
頭に叩き込もうにも、わかったような雰囲気のみ残る。
そんななか、面白かった本は『核家族から単家族へ』(丸善)。
一般書というより、社会学の本なのか。
田舎の大家族に嫁ぐ、友人の結婚式への車中5時間に読むのに
核家族の本はシャレているか、という程度で選んだのだ。
相談する相手がいないので孤立する都会の核家族が増え、
ほがらかジジババ同居の仲良し大家族は減っている、というのは
勝手なイメージなわけで、戦後から核家族と大家族の比率は
実はさほど変化していないよう。
田舎の核家族のほうが、親族や知人としかコミュニケーションをしないし、
保育園やベビーシッターの選択肢が少ないので、
ただ問題が表面化されないだけかもしれない。
[不倫は女の〜][離婚する前に〜][幸せなカップルになる〜]。
帯にそんなキャッチが踊る、ピンクや淡色のかわいい装丁の本を
青ペン片手に読んでいる男がいたら、声をかけてください。僕です。

当事者未満

– 『五体不満足』が身体障害に、『こんな夜更けにバナナかよ』が介護について奥歯に挟まったモノを引っこ抜いてくれた事を思い出しました。

これは「うつかもしれないと悩んでいた」という読者の方からいただいた手紙に書かれていた、『アカルイうつうつ生活』(小社)についてのコメントだ。

たしかに、『五体〜』や『こんな〜』はセンセーショナルで、おおかたの人たちが声に出しにくかった言葉を「引っこ抜い」た力があった。障害や介護の現場で苦しんでいる当事者の方にとっては、どうだったのだろう。

喘息やクローン病、うつ病。さまざまな病気の患者会を見学させていただく機会があった。気のおける患者仲間でしか吐露できない叫びやぼやき、切羽詰まった質問などを耳にして、聞く言葉ひとつひとつが不勉強ゆえショックで、当事者ではない自分はどこか気後れを感じた。ときどき、まるで患者自身が穢れているかのような自嘲的な発言をする人がいて、誰かに意見されることを拒んでいたようだった。

自分のような当事者でない人が「拒まれるのでは」と思い込み、勝手に引っ込めていたあやふやな疑問。障害や介護の当事者自身が本音で語り、そんな疑問を「引っこ抜い」てくれる場を作ったのが『五体〜』や『こんな〜』なのだろう。

– 「こころの風邪というより、こころの肺炎」ととらえつつ、ユーモアを忘れない著者のアドバイスは、うつ病の人や家族を温かく励ましてくれるだろう。(毎日新聞2004年4月8日 東京朝刊より)

すべての病気にその病気独特の悩みがあるように、こころというブラックボックスの病気とされている点にうつ病患者の悩みはある。捕らえ所のないこころについて悩む前に、うつ病は脳という臓器の機能不全であるのに、何かが壁になって語られる場所がない循環。どうもこころがうつうつすることが多く、「あれ、私はうつ病なのかな?」と不安になることがある。うつ病の当事者でもある上野氏の「ユーモアを忘れない」アドバイスが、誰にも相談できない、うつ病の当事者そして当事者未満の人が抱える悩みを、きっと「引っこ抜い」てくれるのだろう。

アカルイうつうつ生活』 上野玲著

毎日新聞 2004年4月8日 東京朝刊/書評

「優先席周り」の携帯電話

03年9月1日より、NTTDoCoMoは身体障害者などを対象とした「ハーティ割引」サービスを始めた。「ハーティ割引」は「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の交付を受けている人を対象に、通話料などが50%オフになるというもの。
Jフォン、au、tu-kaの携帯電話各社も今秋より同様の割引サービスを予定していて、緊急時の連絡に欠かせない携帯電話がより身近になるのは良いことだ。

同じく1日より、これまでJR東日本は「混雑時は電源オフ、混雑時以外では使用を遠慮」としていた携帯電話のルールを変えた。JR東日本と関東の私鉄などでは、車内アナウンスで「優先席付近は電源オフ、それ以外ではマナーモード設定」との告知が始まっている。車内での通話が厳禁なのはこれまで通りで、メールの送受信やi-mode使用はどうやら黙認されるよう。

仕事柄、携帯電話が欠かせないひとりとして、電車内でメールを打つたびのうしろめたい思いから解放されるのは歓迎したい。
もうそろそろ「単純な車内マナー」のひとつとして、携帯電話を使われて困る人にも、使えなくて困る人にもよりよい折り合いが見つかってもいい頃だろう。心臓ペースメーカーの誤作動など、電磁波の「悪影響のおそれ」はマナー以前の問題だとしても。

そういえば、電車で携帯を使われると一番困るのは出版社だ、との話がある。
若者が携帯メールをするようになってから情報誌の売り上げが半減したり、ひまつぶし要員の中吊り広告がそっぽ向かれたり、通勤を読書にあてる習慣がなくなったりと、困ることばかり。
逃げ口上のうえ、ほとんど逆恨みのような話なのだけど。

・NTTDoCoMo「ハーティ割引」 (9月〜)
・Jフォン「プライオリティサポート」 (10月〜)
・au「スマイルハート割引」 (11月〜)
・tu-ka 「エール17、エール35」 (11月〜)