版元ドットコム

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頑ななクニはどこ?

中国が南シナ海にある岩礁や小島の周辺を埋め立てたりして港湾施設や軍事施設を作って、「自国領に何をしようと勝手だ」という態度をとっている。国際司法裁判所の占領不当という判決が出ても態度を変えない。ベトナムやマレーシア、フィリピンなど周辺国がいくら抗議しても、頑なに自国領と言い張って動じない。世界中でここが中国領だと認めているのは中国一国だけ、という現状は見っとも無いものである。
 ところが、ちょっと目をずらすと、それとよく似た主張を言い張っている国が近くにある。一連の島々を自国領だと言い張っているが、周辺国はいずれもその国の領土とは全く認めていない。アメリカもヨーロッパ諸国も世界中が認めていなくて、その国一国だけが声高に自国領を主張している。
 お分かりいただけただろうか。その頑なな国は日本であり、その島々は尖閣諸島なのである。 (さらに…)

竹島も尖閣諸島も「日本固有の領土」とは言えない

 元外務省外交官の佐藤優氏は2012年9月7日付け毎日新聞のコラムで、「日本政府が尖閣諸島に関して『固有の領土だ』と胸を張って主張することはできない」と書いた。多くの外交官も同じ見解だという。それなのに、大多数の日本人は政府の建て前として言うことを鵜呑みにして、「固有の領土だ」と信じている。その人たちに、「アメリカも尖閣諸島は日本領と認めてはいない」と事実を告げると、のけぞって驚くことが多い。日本人だけ、日本だけの「日本領」なのだ。それを私たちは忘れ過ぎている。
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ネット上の情報と出版物上の情報

 12月になると必ず思い出すのが、2010年末の『流出「公安テロ情報」』騒ぎです。
 あれからもう4年になります。ネット上に公安警察の捜査情報が大量に流出。日本中のイスラム教徒・関係者1200余人を「テロリスト」容疑者としてリストを作成し、家族構成・日常生活から企業活動・商店経営・モスク参拝など事細かに調査し、尾行し、メールをのぞき見している違法捜査の実態がすべて実名で誰でもすぐ読める状態で露見してしまったのでした。その捜査活動を実施している公安警察員たちの氏名・住所・電話・家族構成までもが一緒に実名で流出してしまったのは、ご愛敬。 (さらに…)

7月1日の閣議決定は「集団的自衛権行使容認」ではない?

 この欄に政治マターを書くと「偏向しているからよくない」との声があのへんから起こるのは承知の上、今回は書かせていただきます。
 7月1日の閣議決定で「集団的自衛権行使容認」が決まった。どのTVも新聞もネット上もそう報道し、認識している。ところが、「集団的自衛権行使容認」は決まっていない、と大声で叫び出した人たちがいる。他ならぬ与党の一角、公明党幹部の議員たちである。「集団的自衛権行使容認」に賛成する人も反対する人も唖然としている。問題の本質はここにある。
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「自殺」を迫られている、出版メディア

 『流出「公安テロ情報」全データ』は公安警察の違法捜査を告発する本です。
 同時に、その違法捜査の内容をすべての人々、わけても違法捜査の被害者のみなさんに知らせることを目的にしています。
 ネットに流出したこの膨大な「テロ情報」が本物だとすると、警察はイスラム教徒=「テロリスト」と決めつけた、あからさまなイスラム迫害を国を挙げて行なっているのです。
 モスクの前に43人の刑事が張り込んで、出入りする参拝者を片っ端から24時間尾行してまわり、行動を監視して全銀行の全口座について金の出入りをチェック。怪しい人物である基準が「熱心に礼拝している」とか「子どもが産まれたら、信心深くなった」という類ばかりなのです。それも現場の刑事の勝手な判断ではなくて、日本全体の方針としてそうしろ、という趣旨の文書もこの本にふくまれています。 (さらに…)

『プリンセス・マサコ』と『「プリンセス・マサコ」の真実』の間で

 長年版元稼業をしていると、しばしば「これを出版してみたいな」と思うコンテンツに出会う。「出したい本」である。
「出したい本」がモノになる率は低い。そもそも他人の作ったコンテンツだ。こちらで出すために作ったものではない。また、いいものほど、すでに出版元が決まっている。決まっていなくても、もろもろの隘路があって、すぐには成就しないことが多い。 (さらに…)

いまどきの取次って、こうなんだ

一瞬、キツネにつままれたような気になった。次いで、土石流のような憤りが噴き出した。
取次がそんなことを言うようになってしまったのか……
先週、恒例の出版社十数社と取次数社で行う夏季交流会という名目の飲み会があった。
毎年出版社側は一社一~二名、各大手取次からひとりないし数名出席している。ことしも出版社側は例年通りのメンバーだったし私もいつも通り出席するつもりだったのだが、事前に某大手取次がごね始めた。
「あんな『テロ死/戦争死』のような本を出版している版元と同席する飲み会は、出席を見合わせたい」と欠席の意向を示したというのである。 (さらに…)

本は売れなくなったが、本の情報は売れるようになった。さればこそ……

 出版業界は本が売れなくなっても、本に関する情報を売ることができる。それこそが出版業が情報産業であるあかしである。
 私は十数年来それを主張してきて、いよいよその確信を強めつつある。
 出版業はありとあらゆるものを対象にしテーマにして、本をつくり雑誌を出している。だからどういう本がどのように作られ、どういう雑誌がどこでどのように売られ、どれだけの数のどのような人に読まれたか、あるいは読まれなかったかという情報に大きな価値がある。
 出版業界だけではなく、ファッション業界もクルマ業界も食品業界もそれこそありとあらゆる業界にとって“役に立つ”情報がそこにある。政府や自治体などにしても、狭義の世論動向調査に留まらず、政策決定過程を左右する重要な情報もそこにある。 (さらに…)

『テロ死/戦争死』は死なず

 小社第三書館でイラク戦争の戦場と死者を中心としたビビッドな写真ばかりを集めた本を先月発行した。A5判128ページの大半を、いわゆる自爆テロによる死者と、それに対する米軍側の攻撃による死者の写真で埋めつくした。コメンテーターとして中東研究者の板垣雄三(東大名誉教授)ら5氏の文章もおさめた『テロ死/戦争死』(定価1500円+税)である。
 トーハン仕入担当者の思いがけない一言を耳にするまで、私は極めて楽観的だった。 (さらに…)

版元は割を食ってばかりいる

出版業が情報産業だというのは、単に本が文字やビジュアル情報を伝送しているということではない。本にまつわるあらゆる情報が付加価値をつけられて流通するようになるから情報産業なのだ。常々そう考えてきたが、昨今いよいよそれを実感することが多くなってきた。

 どこの書店でどういう本がいつどんな読者に売れたか。その情報に結構な値段がつけられてすでに出版業界で売買されている。いわゆるベストセラー情報ではなく、個々の版元が自社の本や他社の競合本の売上とか広告効果などをオンタイムで知ることが出来るので、重宝されている。

 この場合、本がどれだけ売れたかだけではなく、どれだけ売れなかったかと言う情報にも値段がついていることの意味が大きい。つまり、情報を売る書店サイドからすれば、極端な話、本がぜんぜん売れなかっても、その「どの本がどれだけ売れなかったか」という情報を売って食べて行けるという「情報産業」が成立し得るわけである。

 版元サイドからすれば、自分のところで作った商品がどれだけ売れたかを教えてもらうのに、どうして毎月そんなに支払わないといけないのか、ということになるのだが、そういうクレームをつけた版元を寡聞にして知らない。

 一方、取次から版元に売られる情報の一例として新刊委託したときの書店への配本リスト情報がある。これは上記の書店売上情報とは性質を異にする。書店売上情報は販売用に新たにシステム開発したデータベースによるものである。だからこそかなりの値段で売られていると説明もつく。ところが、配本リスト情報はもともと取次で自社の配本作業用に作ってあるものである。それをそのまま版元にメールで送るだけなのに、各取次を合わせると、一点当り何万円かについてしまうのだ。最近耳にして驚いたのは、某取次から返品情報を版元にメールで送ってくるシステムを作るから、一回一点あたり何がしかを払ってくれという要請が来たこと。版元としては、ただでさえ見たくもない返品情報をデジタル化してあるというだけで、カネを払って買えと言うのだ。それでもデジタル化情報というだけで唯々諾々と受け入れる流れが大勢らしいから、版元もアマく見られたものだ。

 ここまでに挙げた事例はいずれも、情報を発信する側がそこからしか出せない情報を握っていて、それをその情報を必要としているサイドが買うという話だ。

 それでは、版元だけが握っていて版元からしか出せない情報で、取次と書店がほしがっている情報はどのように扱われているか?

 例えば、新刊刊行予定情報にしろ既刊本の在庫情報にしろ、有料なんてとんでもない、なんとか受け取ってくださいと版元が提供しようとしても、新刊案内はFAX用紙代がもったいないといやみを言われるし、取次のデータベースの在庫ステイタスを変更してもらおうと在庫情報を送ってもゼーンゼーン無視されたりデータベースに反映されないままだったりの繰返し。

 どう考えても、この情報化社会の中の情報産業の一翼を担っているのに、版元だけはやけに割を食ってばかりのように思えてならない。

 割を食うといえば、日書連が読者サービスにポイントサービスを導入して定価の1%ほどを還元する方針を打ち出したとかで、思い切ったことをやるものだとびっくりしていたら、何と何と、その1%は書店でも取次でもなくぜーんぶ版元におっかぶせるつもりだという。

 版元はこの情報化大戦争の中で、行く末にアマい見通しばかり持っていて「楽天的大敗北」を喫してしまいそうな雲行きである。