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堀淳一さんをご存知ですか?

堀淳一さんをご存じですか?

堀さんは1972年、『地図のたのしみ』(河出書房新社)で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した、地図エッセイストです。
1960年代から廃線跡歩きを始め、北海道大学物理学部教授を務めながら北海道内はもちろん日本全国、さらにはヨーロッパの地図歩きを続けてきました。
1980年には定年退官を前に職を辞し、札幌に居を構えながら文筆業に専念。その著作の数は、実に100冊以上に上ります。 (さらに…)

「地方出版の可能性―北海道デジタル出版推進協会」

 先日、札幌の中心部にあった2つの書店が、ほぼ同時期に閉店しました。どの地域も同じような状況にあると思いますが、書店が減るということは販売機会も減るわけで、売上の減少傾向に拍車がかかるのではないかと案じています。
 また、この春には取次の日販が、北海道支店の店売在庫廃止を決めました。道内出版物の在庫はかろうじて残りましたが、他の地域でも大手取次が店売在庫を廃止する事例が出ているようです。取次としては東京に商品を集約することで在庫を減らし、効率化を図りたいのでしょう。
 地方で出版を続ける身にとって、状況はますます厳しくなるばかりです。そんな中で可能性を感じているのが、一般社団法人北海道デジタル出版推進協会(略称HOPPA)の存在です。 (さらに…)

甦る、ノスタルジック札幌!『さっぽろ昭和の街角グラフィティー』

昭和26(1951)年に製作された黒澤明監督の映画「白痴」は、その大半を札幌で撮影しています。これは、ヨーロッパを思わせる札幌のエキゾチックな街並みを気に入った黒澤監督が、原作の舞台であるロシアのサンクトペテルブルク(旧レニングラード)を、札幌に置き換えて撮影したからだといいます。ルネサンス様式の三代目札幌駅を背景に、降りしきる雪の中を馬そりが行き交うその街並みは、実にロマンチックでした。
(さらに…)

わが社の返品事情

時々、中古本屋で本の小口(本を開く側の断ち口の部分)を紙やすりでこすっている店員の姿を見かける。また、ブックオフではいつも、独自に開発したというごっつい機械で、数冊の本の小口をいっぺんに削っている。かくいう小社も、返品を再出荷する際にはカバーや帯をかけかえ、汚れた小口を紙やすりでこすっているので、ブックオフの機械には常に羨望のまなざしを送っている。

でもこの作業、東京などにある版元さんは専門の業者に出しているそうで、実にうらやましい。そんな業者のいない北海道で活動する小社では、年中、自分たちの手で本の化粧直しをやっている。カバーや帯のかけかえはそうでもないのだが、紙やすりを使って小口の汚れを取るのがなにしろ面倒だ。

どこでついたのかわからないが、返品で戻ってきた本の小口には結構汚れがついている。これが、なかなかきれいにとれない。汚れた部分だけ紙やすりでこすると、汚れは落ちてもそこだけ紙が荒れてしまうため、その小口の全面をこすってなめらかに仕上げるようにしている。この技は、学生時代に木材工芸を少々たしなんだ経験から、木材の表面を紙やすりで仕上げる技術を応用したもの。自分も書店で本を買う時は、その本のコンディションをチェックしてから購入する方なので、仕上げのきれいさについこだわってしまう。

そんな面倒な作業とはいえ、自分で編集を担当した本が再び市場に出ていくのはうれしいことだ。この作業を繰り返すうちに本が売り切れ、ついには増刷になったり、新版になったりするのだから、決してバカにはできない。とはいえ、仕事が立て込んでくるとこの作業時間が重くのしかかってくるのも事実。返品の少ない新刊を出すことは、いろいろな意味でわが社にとっての大きな課題なのである。

ジョアン・ジルベルト

 先日、私用で久しぶりに東京へ行きました。まったくもって面目ないのですが、実に10年ぶりの上京です。情報にかかわる仕事をしているのに、この体たらく。勉強不足と指摘されても仕方がありません。そもそも、うちの会社は北海道を主要な商圏としており、これまでは営業に行く必要性がなかったこともあります。にしても、10年というのはちと長すぎますね。
 さて今回の上京は、20年以上にわたって崇拝してきたボサノヴァの始祖、ジョアン・ジルベルトの初来日コンサートを聴くためです。私用の旅行のため、自由時間が余りなく、営業活動にあてることができたのはたったの1日。その中で数人の方とお逢いできましたが、つくづく思ったのは「顔を合わせて話をする」という、ごく当たり前のことの大切さです。
 初めてお会いする方ばかりでしたが、わざわざ北海道から上京したこともあって、どなたも実に好意的に迎えてくれました。普段の電話連絡とは違って自然に会話が弾み、話題も多方面に広がっていくんですよね。ちょっとクサイんですが、これぞ「出逢いの喜び」です。これまでにない親密さが、少しだけ生まれたようにも思います。
 これって営業の基本なんでしょうが、今回の上京ではその当たり前のことの大切さを再認識させられました。今度、東京へ来る時は、ぜひ仕事で来たいと思います。そう遠くないうちに…。

追記 コンサートでは夢だったジョアンの“声とギター”を堪能し、大感激しました!

本の底力

 アルバイトで潜り込み、社員になってから9年の月日が流れた。編集者兼カメラマン兼デザイナー兼ライター兼営業マン兼社内雑用係と、零細出版社ならではの悲しきマルチぶりを発揮しつつ、なんとか本作りの世界にしがみついている。
 社長を除き、出版部2人、編集プロダクション部3人のわが社は、出版の資金繰りを編プロが支える自転車操業で、今年創立15年目を迎えた。主力は北海道をテーマにした植物図鑑とガイドブック。特にガイドブックは、的確な企画のものをしっかり作れば確実に売れるだけに、今も大事な稼ぎ頭である(「2002 北海道キャンプ場ガイド」発売中!)。

 でも、最近ではリクルート北海道や角川書店北海道といった大手出版社や地元タウン誌が、ムックスタイルで毎年新しいガイドブックを出してくる。おまけに、雑誌で蓄積した情報と写真を使い、価格も低く抑えられているから、従来の数年かけて売り切る単行本スタイルで対抗するのはなかなか難しい。
 わが社のガイドブックに関しては、企画力と内容の信頼性で今のところ成果は上がっている。しかし出版部では、今後は低価格・大量販売が求められるガイドに頼らない、零細出版社ならではのオリジナリティある企画に力を入れていきたいと考えている。

 そうした試みのひとつとして、今年の2月、「和子 アルツハイマー病の妻と生きる」(ISBN978-4-900541-42-9)というノンフィクションを刊行した。元高校教師の著者・後藤治さんは、若年性アルツハイマー病に冒された妻・和子さんを、手探りのケアで約10年にわたって介護してきた。この本は、発症から現在にいたるまでの苦難と喜びの日々を、著者自らがつづったものだ。
 各種施設を利用しながら、著者は無私の心で和子さんの気持ちを汲んだ独自のケアを続けてきた。そうした“渾身のケア”によって、今も和子さんと一緒に散歩を楽しんだり音楽を聞いたりする、穏やかな毎日を送っている。これは、発症から10年もすれば完全に寝たきり、といわれてきた従来の医学の常識を覆すものだ。著者のように献身的な介護は、誰でもできることではない。でも、アルツハイマー病という枠を越えて、読むものに「夫婦ってなんだろう?」と問いかける広がりを持つ本だと思う。

 刊行後、新聞・テレビなど地元マスコミに大きく取り上げてもらい、4月に入ってからは朝日新聞書評欄など中央のマスコミにも取り上げられ、今も連日全国各地から客注が入ってくる。さらに、在京の某テレビ局から取材のアプローチがあるなど、北海道限定のガイドブックでは考えられない反響の大きさに驚いている。同時に、本というメディアの持つ底力を、改めて思い知らされた気がする。

 今年は、年内にあと2冊の新刊を出す予定だ。作り手の思惑を超えるような、大きな広がりを持つ本を出せればいいなあと思っている。