“ブームを起こす、チョムスキー”
『チョムスキー、世界を語る』が売れている。同じ著者の『金儲けがすべてでいいのか−グローバリズムの正体−』(文藝春秋、9月刊)も、『ノーム・チョムスキー』(』(リトル・モア、9月刊)も好調だ。ひと月に新刊3点。記録映画『チョムスキー 9.11』も立ち見が出るほど盛況らしい。 まさに、“ブームを起こす、チョムスキー”なのである。
“ブームを起こす、チョムスキー”このフレーズ、実は共同通通信社の配信により各地方紙に掲載された特集記事の見出しを借用した。そして、この“ブーム”に一抹の不安を感じている。
チョムスキーの世界の語り方が、文化として定着することが出来るのだろうか。と。
これだけ邦訳が続き、認知度が高まりつつある日本でも、アメリカ本国と同じように、まっとうな(よく吟味するという意味で)批判が存在しない。今、チョムスキーへ向けられるのは、賛辞か無視。
熱狂的支持—(メディア)→“ブーム”—(メディア)→批判→定着 というルートで、受け入れられたら良いなと思う。
同時多発テロ後に脚光を集めた印象がつよいチョムスキーだが、一貫した信念の政治思想関連著作は数多く、その数点が1970〜80年頃にかけて邦訳された。しかし、なぜか、その殆どが姿を消し、日本では、「変形生成文法理論を提唱し、20世紀の言語学だけでなく、哲学・精神科学・情報科学などにも大きなインパクトを与えた言語学者」の顔だけが残ったのだった。
数十年にわたり、異なる分野の第一線で活躍をつづけるチョムスキー、あまりに刺激的でカッコイイ。読んで、観て、存分に批判をしてみようではないですか。
(書籍)
『チョムスキー、世界を語る』(トランスビュー)
⇒書店様の仕入方法はこちらをご覧ください。
『ノーム・チョムスキー』(リトル・モア)
『金儲けがすべてでいいのか』(文藝春秋)
『新世代は一線を画す』(こぶし書房)
『アメリカが本当に望んでいること』(現代企画室)
『アメリカの「人道的」軍事主義—コソボの教訓』(現代企画室)
『ノーム・チョムスキー—学問と政治—』(産業図書)
(映画)
『チョムスキー 9.11』(配給:シグロ)
(サイト)
異分子(仮) -dissident-:チョムスキー・アーカイヴ日本語版
他多数。