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頑ななクニはどこ?

中国が南シナ海にある岩礁や小島の周辺を埋め立てたりして港湾施設や軍事施設を作って、「自国領に何をしようと勝手だ」という態度をとっている。国際司法裁判所の占領不当という判決が出ても態度を変えない。ベトナムやマレーシア、フィリピンなど周辺国がいくら抗議しても、頑なに自国領と言い張って動じない。世界中でここが中国領だと認めているのは中国一国だけ、という現状は見っとも無いものである。
 ところが、ちょっと目をずらすと、それとよく似た主張を言い張っている国が近くにある。一連の島々を自国領だと言い張っているが、周辺国はいずれもその国の領土とは全く認めていない。アメリカもヨーロッパ諸国も世界中が認めていなくて、その国一国だけが声高に自国領を主張している。
 お分かりいただけただろうか。その頑なな国は日本であり、その島々は尖閣諸島なのである。

 外務省もそれを重々承知しながら、「我が国固有の領土」という看板だけは下ろしてない。沖縄にルーツを持つ佐藤優(元・外務省主任分析官)も外交官上りだけに看板は下ろさないものの、「日本政府が尖閣諸島に関して『固有の領土だ』と胸を張って主張することはできない」と毎日新聞に正直に書いている。
 林子平は1785年に「三国通覧図説」を表し、その中に尖閣諸島周辺の色付き地図を掲載して、尖閣諸島(釣魚臺)を日本でも琉球でも台湾でもない福建省と同色にしている。これが江戸幕府の見解だったのだ。
 日本は下関条約直前に尖閣の自国領化を宣言。3か月後台湾を取った。8・15で台湾を返したが、尖閣は残った。日米安保条約は尖閣に適用されるが、米国が日本領と認めたからではない。単に日本が支配しているだけの理由での決定だ。因みに同条約は竹島には適用されない。代わりに米韓安保条約が適用されるのだ。
 第三書館はこれらの事情を書いた『新版「尖閣」列島』(井上清著950円+税)

を今月重版した。
 この本の中国語版が5年前に北京の版元から出た。売上報告がやっと今年来て、初年度1万部強、2年目100部、3年目―20部、4年目0部だという。ところが、5年目の今年、契約切れだから、契約更新したいというのだ。
‥‥…版元ならピンとくるものがあるだろう。この売上通りなら、どうして契約更新して新版を出すことになるのか、納得がいかない。果たして中国語版の新版が出るかどうか、年内に決着する。
 この本が陽の目を見るまでのウラ話は長くなるが、あとがきに書いた。興味ある人は、そちらを見てほしい。

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