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絵本と翻訳 ~翻訳者より~

こんにちは。キーステージ21の中村です。この度、キーステージ21では、初めての翻訳絵本を刊行いたしました。『バニーといっしょ!おやすみ』というドイツの絵本です。

この絵本は、翻訳者のまるやまめぐみさんからの紹介でした。まるやまさんから絵本の翻訳について文章を寄せていただきましたので、今回はそちらをご紹介したいと思います。

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この絵本は、私がキーステージ21さんに相談をして、日本語版が出版されることになりました。これまでドイツ語を学んできましたが、絵本の翻訳は初挑戦で、まとまるまでに試行錯誤を繰り返しました。
まず悩んだのが、どこまで崩していいのかということでした。あまりきっちり訳してしまっては絵本としての原作の魅力が半減してしまうし、かといって原作をあまりに無視した表現は使いたくないというのが私の考えでした。そもそも、ですます調にすべるきか、もっとフランクな口調にするべきか?キーステージ21のお母さん編集者さんたちの意見やアドバイスを聞きつつ、どうしてもこの表現だけは譲れない!という部分に関しては意見を押し通したりもしました。中でも特に悩んだことが二つありました。
一つ目は、「バニー」の名前についてでした。原作では「Hasenkind」、直訳すると「ウサギのこども」です。シンプルに「こうさぎちゃん」や「うさぎくん」と呼ぼうかと考えましたが、原作では男の子とも女の子とも書かれていないので、「くん」「ちゃん」と性別を決めてしまうのはもったいない気がしました。そこで考えたのが、どちらの性別にも限定しない名前を付けることでした。そこからがまた悩みどころでした。どんな名前ならこの子にぴったりで、小さな子どもたちが楽しく呼びかけてくれるか頭を悩ませました。最終的に、シンプルだけれど「うさぎ」だとちゃんとわかって、親しみの持ちやすい「バニー」に決定したのです。
二つ目は「魔法の言葉」でした。絵本の中でおおきなあくびをしたバニーを布団に連れて行く場面なのですが、原作ではその言葉の前に「魔法の言葉を唱えよう」という一文がありました。わかりやすく言うと、シンデレラの「ビビデバビデブー!」のような呪文にあたるものです。魔法の呪文!と胸が高鳴りました。しかし同じくらい、これは責任重大だぞと思いました。一番子どものわくわく感が高まるページになるはずなのに、つまらない呪文では一気にこれまでのわくわくの気持ちが無くなってしまいます。そこで、「魔法」と言われて一番に頭に浮かんだ空を飛ぶ様子と、おやすみの様子を混ぜ合わせて、なんとか特別な呪文をひねり出したのでした。どんな呪文ができたかは、ぜひ絵本をお読み下さい!
 こうして、頭をひねりつつ完成したのがバニーの絵本です。読者の方から「寝る前に読んでってねだられます」「子供が絵本にキスしています」といった声が届くようになり、この絵本を出版することができて本当に良かったと思っています。原作者のイョルク・ミューレさんが「私のこうさぎ」と呼んで愛しているこの子を、もっと多くの人に愛してもらえたらと思います。

まるやま めぐみ(ドイツ語翻訳)

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絵本を通して、おやすみ前の幸せな時間をたくさんの子どもたちにお届けできたらと思っています。ぜひご覧ください!
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