ハルビン学院記念碑祭
皆さん「ハルビン学院」という学校をご存知ですか。
今年も4月16日、東京・高尾霊園でハルビン学院記念碑祭が開催され会員遺族関係者約130名が出席しました。
ハルビン学院は井田孝平の推進で1920(大正9)年に後藤新平によりロシア語のスペシャリスト養成を目的として旧満洲国のハルビン(哈爾濱 現・中国東北部)に日露協会学校という名称で設立され、満洲国ができてから満州国立大学哈爾濱学院と名を変え、1945年8月、終戦とともに閉校となりました。歴史に翻弄され開校以来25年で終焉した悲運の学校です。
同窓会の幕引きから17年目、東日本大震災の年に開催中止となったので、記念碑祭は今年で16回目となります。
同窓会は21世紀を迎えるにあたり、卒業生が高齢になり同窓会活動が不可能になるため「ハルビン学院」の名を後世に残すべく基金を集め、上智大学ロシア語学科に「ハルビン学院顕彰基金」を寄付、その基金により毎年同学では「ロシア研究シンポジウム」が開かれ、「奨学金」制度が設けられすでに75名もの奨学生が「ロシア語」の世界で活躍しています。今年は上智大学の関係者が4名も出席されました。
また遠くモンゴル、フフホトからは22期卒業生(故)ソヨルジャブ氏の奥様オヨンフーさんが出席しました。オヨンフーさんは2012年の記念碑祭にも出席、記念碑にソヨルジャブ氏の分骨を収納しました。
(ハルビン学院の記念碑祭に『草原のラーゲリ』に描かれたモンゴル人同窓生の未亡人が出席! – 飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」)
学院に寄せる思いは、卒業生はもちろん、家族、遺族もひとしおで、記念碑の地下のカロートにはすでに分骨、遺品が多数収められています(母校の記念碑に分骨、遺品を収めている同窓会が他に有るでしょうか)。
今年も分骨6柱、遺品6つが収納されました。
「6千人の命のビザ」を発行した杉原千畝氏の遺族の杉原まどかさん(孫)も出席、杉原氏の遺影を収納しました。
(時事ドットコム:「大陸の青春」しのび記念碑祭=終戦・廃校から70年-ハルビン学院)
(Manchuria academy students still gathering 70 years after WWII end | The Japan Times)
一橋大学で満洲国の情報を記録収集している大学院社会学研究科の2名の方が当日突然参加、相談の結果ハルビン学院の貴重な関係書類をデジタル保存することになりました。ありがたいことです。
(「満洲の記憶」研究会 2015年04月17日)
21期生の内村剛介氏の書籍が恵雅堂出版から発行されています。
(著作集 内村剛介著作集 第1巻 わが二十世紀茫々 内村剛介著作集(全7巻)1 )、
(内村剛介ロングインタビュー 生き急ぎ、感じせく—私の二十世紀)
式典進行:ここ1年間に亡くなった方々の氏名を読み上げ、黙祷。分骨、遺品収納式。連絡所からの報告。ハルビン富士高女校歌、ハルビン学院寮歌「松花の流れ」の全員合唱で終了。記念撮影の後、懇親会となり再会を誓いあって解散となりました。
恵雅堂出版 の本一覧:版元ドットコム