電子書籍奮闘記
私たちは、今年1月に初めて本の電子化をはじめました。最初に出した電子書籍は、昨年秋に出版した「憲法決壊2」
。
サブタイトルを「戦える日本に変貌させた戦後70年史上最大の解釈改憲の実態」とし、問題になった参議院の安保法制の議事録を、解説を付けて載せたもの、ジャーナリストの高野孟氏の提言や国会議員のインタビューなどもある、ブックレット判の書籍です。
電子書籍の販売は「株式会社イーブックイニシアティブジャパン」という会社と組みました。私の仲間から紹介してもらったのですが、ここはもともと小学館に居た人たちが中心になって、2000年に作った会社です。このイーブックの取締役の鈴木さんから色々教わりながら、まず1冊やってみようと手探りではじめてみたのです。
データを電子書籍用に返還、編集するために「BCCKS」という会社を紹介してもらいました。この会社で開発したソフトを安価で利用させてもらいました。自分たちでやっていて、わからないとすぐにメールで問い合わせしたりしながら、とりあえずなんとか、1冊分を編集しました。
返還・編集が仕上がったものというか、返還したものといったほうがいいかもしれませんが、表紙、背表紙、目次、そして本文へとページをめくって? パソコンで見ていきました。もくじのタイトル部分をクリックするとそのタイトルページに飛んでいって、いちいちめくらなくてもすぐ読める状態になる、などのチェックをしました。
でも、どうも紙媒体と違うのです。当然手触りとうものはありません。当たり前です。でも何か違うのです。まず、紙の書籍では、まとめとして最後に高野孟氏の提言の文章があるのですが、電子書籍では読者に対して、はじめから読んでいって、最後に提言を読むという順番でいいのかという疑問が出てきたのです。それではだめではないか、電子書籍ではそこまで読み進むのは難しいのと感じたのです。
また、もくじのタイトルはこれでいいのか、という疑問です。紙の場合では、十分だと思えたタイトルでしたが、しかし電子書籍として見た場合、これでは、たとえ、そのページに飛べる機能があっても、そのまえに読者に興味をもってもらえない、わかりにくいタイトルなのではないか、と思えたのです。
つまりそれは、紙の本というのは手に持ってぱらぱらめくって見ることができるから、全体のイメージ、ページのイメージができますが、電子書籍はそれができない。1ページか見開きでしか見られないのです。
順番の入れ替えをし、もくじのタイトルは、わかりやすく変えました。写真は文字に食い込ませたりしても意味がありませんので、1ページに1つか2つというように整理しました。
文字の大きさ、書体の数、まだまだ紙の本のようにはいきませんが、でも可能性があるな、と感じました。フランスでは、紙の書籍はリーフレットのような簡易な内容にして、電子書籍ですべて読ませる、というようなやり方がどんどん増えているようです。書籍の内容にもよると思いますが、印刷代が押さえられるのは確かです。
今作っているのは、紙と電子の同時発売のものです。さて、どうなるか、楽しみです。