高円寺を「本の街」に!
私・永滝は有志舎という歴史書の「一人出版社」をやっているのですが、今年の春からは東京都杉並区の高円寺という街で活動している「本が育てる街・高円寺」(略称:本街)というボランティアグループに参加しています。
このグループは、「高円寺を本の街にしよう」という目標を掲げて、本の交換市(文字通り、本と本と交換するイベント)やブックシェア(高円寺の商店に「交換棚」を置いてもらい日常的に本が交換されるようにする)、さらに本に関する様々なイベントを日夜行っています。
本が読まれなくなったという事が言われて久しいわけですが、それをただ嘆いていてもダメなので、ローカルな地域から日常生活の中に本があり、読まれていく環境をつくっていこうと思い、仲間たちとワイワイ楽しく活動しています。
高円寺というと「日本のインド」「音楽と古着の街」というイメージばかりで、「本」のイメージがなかなか沸かない方も多いと思うのですが、結構、昔から古本屋さんも多いし、交換市などをやっていても街の人たちの評判は上々、「次はいつやるの」「こういうイベントをもっとやって欲しい」という嬉しい言葉もいただいて、こんなにもたくさん本が好きな人が高円寺にはいるんだと驚くと共に勇気をもらっています。
それに、版元ドットコム関連でも、毎年、高円寺フェスに参加しておられる「本の産直市」の版元の皆さんとの共同連続イベント「本で交わる」もやらせていただいて、先日の6月19日には第3回目も無事終わりました。この夏から秋にかけては第4回・第5回もあるでしょう。高円寺と本の関係は、かなり密になってきています。
そういう中で、私には夢があります。
私の生まれ故郷であり、今も住んでいる地元・高円寺を「出版の街」「本を生み出す街」にすることです。たくさんの出版社や出版関連会社、ライターさんやデザイナーさんが住み、そういう事務所も置かれて協同して仕事をしていけるような「高円寺出版工房村」(仮称)をここにつくること、さらには書店や古書店もいっぱい出来て、高円寺が神田神保町のような街になること。それが私の夢です。
もちろん、1年や2年では出来ない、何十年とかかる夢でしょうが、その最初のとっかかりだけでも始めたい。そのために、来年には有志舎は高円寺に移転し、その先鞭を付けたいと思っています。神田神保町に事務所を置いて11年が過ぎました。神保町は良い街です。でもそれに負けないような「本の街」を高円寺に作りたい。もちろん、私一人では無理ですので、「本街」のボランティア仲間や地元の住民の皆さんや商店街の方たち、それに行政ともタイアップしてやっていきたいと思っています。
来年は、こういう大きなチャレンジをしたいので、今から少しずつ準備を始めています。私は来年で53歳になりますので、それほど長くないであろう残りの出版人生は「有志舎」と「本街」という「二足のワラジ」で歩んでいきたいと思っています。