狛犬に見守られて
昨年4月から実施された消費税アップは確かに堪えた。それまでの駆け込み契約で夏場までは例年以上の忙しさだったのが夏を境に下り坂、ピークは7月か――。
7月2日 『赤井のアーちゃん、独り言』大阪新阪急ホテルにて出版記念会。浜村淳司会、赤井英和ファミリー総出演とあって、吉本の芸人関係を中心に200人余りの出席があり、持ち込んだ200冊は完売。予約の注文も相次いだ。
7月7日 大阪・天満橋の大川沿いで6年目となる「平成OSAKA天の川伝説」のイベント実施。6万人を超える見物客が訪れた。夜空に瞬く星に見立てたLEDの光の球を河川に流し、一夜限りの天の川を演出する趣向だ。東京では隅田川にLED球を浮かべた「東京ホタル」として知られている。弊社ではこれまでに至る苦労話を取材した『奇跡の川――天の川プロジェクト』を出版。編集を進めながらも楽しめた一冊だ。
夏場を過ぎると、駆け込み需要の反動からか見事に下り坂。3月に刊行した『千鶴さんの脚』が第21回丸山薫賞を受賞、10月21日、その式典に参列するため豊橋市まで出向いたのはうれしい出来事だった。あとは、文学関係の会合や同窓会などで痛飲の日々。
そういえば、9月17日、旧知の女性詩人から「主人が狛犬に興味を持っていて、それをまとめて本にしたい」との相談を受け、塩見一仁さんにお会いした。当初は「狛犬の写真集」くらいの軽い気持ちで出かけたのだが、どうしてどうして30年もの研究の思いが詰まった重厚な内容の原稿。聞けば私と同年齢、話もあった。11月の発刊となった『狛犬誕生――神獣のルーツをたどる』は380頁の本に仕上がった。
この本は発売当初から版元ドットコムのアクセスランキングでも上位にランクされたこともあり、予想以上の反響をいただいた。出版のタイミングも良かった。年末・年始の縁起物なのか、書店からの問い合わせも多かった。おかげで落ち込みかけていた気持ちに少し灯りが点った。狛犬に守っていただけたのかと思っている。
ちなみに日本経済新聞(1月3日/文化欄)では著者への取材に基づく『狛犬誕生』の記事が大きく報じられている。出版社名が記載されていないのが寂しい。
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