版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊 ラノベ

ああ、しんどかった

2014年7月31日第13期を終えました。
今期は、苦しかった、本当に本が売れませんでした。
第一弾、「大阪のスイーツ108」B5変型判150ページ、オールカラー、本体価格1200円、初版20000部。いい本なんですよ、書店さんや取次さんの評価も高かった。
著者は、大阪のテレビ番組「よーいどん!」でスイーツ紹介を担当、毎日新聞で大阪スイーツの話を連載、まあ、これが元になっているんですが、本業はスイーツ開発の専門家で、キャラクターもたっている三坂美代子さん。
実は、大阪のスイーツの本ってほとんどないんです。
神戸の洋菓子、京都の和菓子に挟まれて、ちょっとイメージが無い。
そこで、江戸時代、天下の台所として素材が集まったことから大阪で生まれた菓子など、歴史や文化も盛り込んだ、大阪スイーツ大全といったイメージで作ったんです。
資料編もがんばりました。
ただ、新作のかわいいスイーツは、基本的に入れませんでした。
そこやったんかなあ。400万ほどの大赤字。
でも、三坂さんの次回作では、この江戸時代、いやいやそれ以前の大阪の菓子も調べて、もっともっと面白い本にします。そのための資料なんかも集めたり、当たったりしています。売るのが目的ではありません、100年後に伝える資料です、それが、大阪で出す意味です、印刷部数は絞りますけどね、大阪は、資料をまとめる習慣がないんでしょうか、江戸というか東京や京都、金沢、鹿児島なんかの菓子の歴史は本になってるんですけどねえ。

 

それは、それとして、次に作った・・・、いやいや、連戦連敗でした。
瀬戸の島旅 しまなみ海道+10島めぐり」が20000部ちょっと売れたぐらい。
既刊本の重版は、ぼちぼちあったもんの、新刊8点で実質1600万ほどの赤字。
消費税が上がって以降は、売れなさに加速がついて、いやあ厳しかったです。
決算自体は、過去の返品調整引当金や、在庫調整引当金の戻しが大量にあったので、やっとこさ黒字決算になりました。

でも、不思議なことに、今期は、お金の面では楽でした。
大変やったんは、12期です。
去年は、売れて売れて、今期と同じ8点が、重版に次ぐ重版で1億近く売上げました。
うちのテーマは、本籍地のある本。
「関西のことは、関西人の手で、関西から伝えたい。西日本のことは、西日本の人間の手で、西日本から伝えたい」の思いで、本を作っているので、売るというより、届けたい、読んで欲しいという気持ちが強いんですが、それが「受け入れられた」、そんな感じでした。
決算は、前年の倍の売り上げ。
返品率は、過去2期と変わらず、3期連続ほぼ30%。
そうなると、本の利益率は跳ね上がります。
税金も、びっくりするような金額になりました。
ただ、本当に増えているのは売掛金だけで、手持ち現金は当面の本作りと、重版と、宣伝に常に使っているので、ほとんどない。
うちのような新興の出版社は、新刊の卸からの入金は、返品が返りきった後の、7カ月から8カ月先。
それはそれで合理的な話なんでいいんですが、税務署は、そう思ってくれない。
行きましたよ、税務署へ。
おそらく、今、わが町吹田で、商業出版をやっているのは、うち一社。
出てきた若い署員に事情を話して、税金を払うお金がないと言うと、一言
「それは、そっちの事情、誠意を見せてもらわんと困るなあ」
「それは、すぐ払わんかったら、ブラックリストに載るということですか」
「・・・・・」
いやあ、ミナミの帝王以外で、「誠意を見せてもらわんと困るなあ」を聞いたのは、初めてです。
それから、大変でした、お金借りましたがな。
消費税もそうです、取引先の卸のひとつトーハンさんは、消費税だけは商品の動きに応じて払ってくれるので問題ないんですが、他の卸さんは支払い時、ということは、これも入金前に税務署に払うことになります。
「消費税はお客様からの預かり金なんやから、払わん奴は最低や、どろぼうや」以前、税務署の方がおっしゃっていましたが、うちらは、まだ預かっていません。
えらい人がいたもんで、同じような支払い形態の業界の人が、「うちは、預かってへん」と裁判されたそうなんですが、最高裁まで行って、「それでも、先に払え」となりました。
以降、税務署のみなさんはちょっと悔い改め、「預り税」から「預り金的税」と消費税の呼称を変えたそうです。
まあ、30年以上前にできた歴史のある出版社は、納品したら、概ね翌々月払いなんで、関係のない話なんですけどね。

そんなわけで、今年は、税金に頭を悩まさなくていいので、気持ちに余裕があります。
お金の面でも、実際に、売掛金が入ってきたのは今期です。返品が返ってきたのも今期、返品は大幅に増えましたが、引当金が正常値に戻りました。
売り上げがいいと、前年の税金の半分を半期の時点で先払いするんですが、これもなんとか工面して払ったおかげで、これがまるまる今返ってくる。
おまけに、消費税も、実質赤字なんでかなり返ってきました。
うちの税理士が言うには、「売り上げが倍になって、翌年半分以下になるなんで、こんなふり幅のある会社を税務署は理解できへん、何より消費税を返すというのを嫌がんねん、ということは、今期は、税務調査が入る可能性が高いで」
その時はその時、その模様を本にできるかもしれません。

でも思うに、あの注文の嵐は、やっぱり快感でした。
今期は、日本中の人たちに西日本のことを届けて、2億円売上げます、だって、今作っている本も、わくわくするような面白い本ばっかり、これは東の人間にはちょっと作れません。

以前書いたように、うちの本は、飲み屋と旅から生まれています。
飲んで飲んで、旅して旅して、まだまだすごいことと出会えて、そこからまた本が新しい生まれそうな気がしています。計画性はありませんが、そのためには、とにかく続けていかなければ、そう、心の底から思う、今日この頃です。
 
西日本出版社 の本一覧:版元ドットコム

このエントリーをはてなブックマークに>追加