版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊

7/22(木)Googleエディション説明会レポート

google エディション説明会 会場の様子。撮影・沢辺均(ポット出版)

講師●佐藤陽一氏(グーグル株式会社 パートナー事業開発本部)
会場●貸教室・貸会議室 内海

●はじめに

・TIBF2010は三年ぶりの出展。以前よりも電子書籍への関心の高まりを感じた。ブースでの説明には大変関心を持っていただき、「(聴衆が多すぎて)ブースに辿りつけない」と苦情が出た(笑)
・「Googleブックス」=(出版社・著者との)パートナープログラム+図書館プロジェクト
・「図書館プロジェクト」の方が、いろいろゴタゴタがあった方。ここしばらくは周囲からの問い合わせや叱責の十字砲火をいただき、サラリーマン人生で非常に貴重な経験を積ませていただいた(会場笑)
・出版社・著者由来のデータと図書館プロジェクト由来のデータとは互いに独立しており、「図書館プロジェクト」由来のデータが「パートナープログラム」として閲覧・販売されてしまう、といったことはない
・Googleブックスのトップページ( http://books.google.co.jp/ )。表示ロジックは自動化されており、いわゆる「プロモーション」展開は考えていない
・Googleブックスのサイトでは、部分的な閲覧(20%〜100%の間で、出版社が書籍ごとに調整可能。ただし、表示ページの明示的な指定はできない)ができる。(同一idから見て、)全く表示されない部分もあるので、一人(ひとつのIP?)から、本の全情報を取得するのはほぼ不可能
・パートナーブログラムからの、ユーザの動線は、現在は「この書籍を購入」という、リアルな本の購入リンク(および図書館へのリンク)のみ。(例: クラウド時代と“クール革命” – Google ブックス)
・今後、ここに「購入」(「サイトで全てを閲覧」「ダウンロード」という二つの権利を得る)オプションが加わる

●データの提供方法、および処理の実際について

・一番簡単なのは、本の現物提供。ただし、現物を送るとスキャン(サンフランシスコの本社で、断裁してスキャンしている)する手間が入るので、サイトで表示されるまでに、最大八週間かかる。PDFデータだと、これが一週間にまで短縮されるので、こちらを推奨
・データは、スキャン後、インデックス作成(検索にひっかかるようにテキスト情報をつくる)ため、OCRをかける。ちなみに、PDFデータをもらっても、PDF内の文字データはつかわず、単なる画像情報として利用している
・OCRの識字率はプログラムの改良(やデータの蓄積)で向上していくので、改良が行われるたびに、全画像データに再度OCRをかけて、情報のアップデートをしている(筆者注:聴いたときはおお、すごい、と思ったのですが、これだと人為的な「校正」を介入させるのがきわめて難しいと思うんですが、どう解決しているのやら……。Googleらしいといえばそうなんですが)
・OCRの際、文字の大小などによる、文字情報の重みづけ(構造化?)をある程度行っている
・データに問題があったら、すぐ差し替えるので、どんどん連絡してほしい

●何をどうやって「販売」するのか?

・決済後、購入者は「google booksサイト上で、書籍の全ページを閲覧」「EPUBもしくはPDFファイルのダウンロード」のふたつができるようになる
・「閲覧」の場合、購入前の「20%程度見られる状態」のものよりも高解像度のデータを見られるようになる、等の差をつけることができる
・「閲覧」のみで「ファイル提供なし」という選択肢がありうるのかどうかは(私が聞いた範囲では)不明、ですが、提供出版社が「パートナー契約解消」となった場合のユーザー利便性を考えると、できるだけファイル提供をセットにしたい、という意向の模様
・「ダウンロード」の際のDRMについては、それぞれ出版社でコントロールできる(逆に言うと、google自身は一切のDRM処理をおこなわない模様)
・ちなみに、欧米語圏ではOCRの認識率がきわめて高い&EPUB規格自体が確立しているので、「現物提供→スキャン→OCR→テキスト抽出→EPUB生成」まで自動化できている(ものもある)、とのこと(当然、日本語でこれが成立するのは当分、ない、とも)
・決済にはGoogle チェックアウトを利用する
・契約モデルとしては、「ホールセールモデル(出版社は卸値を決め、小売価格はGoogleが決定する)」のみを想定。「エージェンシーモデル(販売価格を出版社が決め、Googleは一定の歩合を徴収する)」は日本ではやらない予定
・販売はGoogleサイトのみ、とは限定していない(Appleがどうこう、とおっしゃっていたような気もするのですが、ここら辺、ちょっと私の記録があやしいです)。「版元ドットコムで販売」「自社サイトで販売」ということも可能

●パートナープログラムによる、(電子書籍の)販売について

・サービス開始は、年明け。「○社あつまったら」的なことは考えていない
・Googleのマージンは(最大で)49%。大量点数の提供など、諸条件によりこの数値が変動する可能性はある
・「希望小売価格」なので、Googleがバーゲン価格などを設定していく可能性はある

というわけで、「(パートナープログラムはいつでも解消できるので)まずははじめてみてください」とのことでした。

Google ブックス」サイトの一番下、「出版社様向けの情報 」というリンクから申し込みを開始できるようです。

おまけ:説明会のあと、「閲覧の部分はブラウザで、ということでしたが、やはりデバイスに特化したものが欲しい。Google Books専用アプリ(for iPhone/iPad/Android)の予定は?」と水を向けたところ、「出したいですねえ」とおっしゃっていました。私が思うに、Googleが欲しいのは「より豊かなテキストインデックス」のはずで、流通にはあまり興味がないんじゃないかなあ、と思うので、ここら辺にどれくらい注力してくれるかは不明ですが……。

(文責・版元ドットコム事務局 日高)

このエントリーをはてなブックマークに>追加