電子書籍の単行本化
会員の皆様、こんにちは。日誌を書かせて頂くのは2度目となる、彩図社編集部の吉本竜太郎と申します。
小社は『裏のハローワーク』をはじめとする、いわゆるサブカルチャー本を中心にビジネス書、旅行書、ノンフィクションなどを発行しております。既刊タイトルを並べてみますと、『海外ブラックロード』『パチンコ裏物語』『就職先はブラック企業』『世界恐怖旅行』などなど……。これでもかと言わんばかりに、ブラックなワードが詰め込まれております。
本年3月、そんな小社の「ブラック」なラインナップに、また一冊、仲間が加わりました。
彩図社にしては珍しいホラー小説『デビル・ボード』です。実はこれ、2009年に株式会社キリックさんから刊行された電子書籍を単行本化したもの。著者の狂気太郎氏は、インターネット上では知る人ぞ知るホラー小説の書き手です。2001年、「第1回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞」を受賞した作品『想師』(学習研究社刊)でデビューされて以後は、電子の世界に活動の場を移し、主にホラー、スプラッター、伝奇アクションといったジャンルに属するオンライン小説を発表されてきました。
さて、本書のあらすじは以下の通りです。
ある財界人が主催するパーティに招かれた各界の著名人16名。
彼らが謎の老紳士から「余興に」と言われて参加したのは、『デビル・ボード』と呼ばれる悪魔のボードゲームだった。勝者の報酬は大願成就。金を望むなら現在の日本円にして100兆円は下らない賞金が得られるという。
だが、プレイヤーたちは自分の番がくるたびにゲーム盤の世界に吸い込まれ、凶暴な猛獣、悪辣なトラップ、強大なモンスターと「生身」で対峙しなくてはならない。
ゲームでの敗北はすなわち、死を意味するのだ。次々と、無残に、あっけなく、死んでいくプレイヤーたち。
そんな中、ホラー小説家の洞成一は、持ち前の妄想癖と病的な用心深さにより、何とか死の危機を回避していくのだが……。
この『デビル・ボード』、電子書籍として好評を博し、日本最大の電子書店・パピレスのホラー部門で「この本が売れました大賞」に輝きました。この売れ行きを見た、発行元である株式会社キリックさんが「紙書籍化」を発案され、小社にお話を頂いたというわけです。
単行本化にあたっては、「電子書籍ではできないことをやろう」と思いたち、Twitterを使った、著者サイン本のプレゼントキャンペーンを実施しました。出版後は、従来のファンに留まらない幅広い読者の方々から、感想が寄せられております。
これまで電子書籍といえば、紙で売れたものを電子化する、という流れが一般的でしたが、すでに電子書籍の世界で多くのファンを持つ作家の紙書籍化も、これからは増えてくるのかも知れません。
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