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古地図で読み解く 江戸東京地形の謎

「版元日誌」に寄稿するのはこれで3度目。前回何を書いたかと自分の原稿をめくってみたら、2年前から状況は少しも変わっていない。相変わらず女房と二人で会社を「維持しているだけ」。ある意味ではまことに理想的で、快適この上ないことでもあるけれど、ちらりと「土佐源氏」(宮本常一)を想像してしまう。人生のついの境地か。しかしながら確実に「老い」は加わっていく。しばしば腰痛に悩まされ、物忘れや物失くしも頻の度を加える。ただし変容は「個」(加齢)もさることながら、「外」はまたさらに激甚である。
たとえばメディアだが、こちらは「地図」を射程の基盤にすえていることもあって、そこから見渡せる「世界」は、「本」や「雑誌」のそれの一回り以上先を行っている。なにせ「国」が「紙地図は基本的につくらない」と宣言した体の「地理空間情報活用推進基本法」が施行されたのは7年近く前の2007年8月(拙著『地図・場所・記憶』〈2010年、けやき出版〉参照)。地図と言えば液晶画面を想起する世代が主流となろうとしている。学校の教科書がタブレットとなるのも時間の問題だろう。実際、今や情報の基本は「ネットで入手する」のであって、ネット世界にアップされていない情報は情報たえりえない、という現実がすでに出現している。

二見書房、2013年8月刊

マス・プロダクツ(大量生産)とマス・コンサンプション(大量消費)の時代は、紙媒体においてはすでに終焉しているのである。山本七平ではないけれど、ベストセラーといっても所詮「空気」のお話。とりわけ日本列島の上は、空気や情緒が支配する。「嫌韓」「反中」を煽り、「ひとりよがり」で部数を伸ばさんとする「アカ新聞」や「イエロー週刊誌」、雑誌もどきの「本」が溢れる。「波」や「空気」に乗じるものが「売れる」のであるとすれば、元来「ナントカ・セラー」に「価値」はない。旧約聖書に例えるならば、いま列島は「エレミアの時代」。ひとに嫌われる「警世」「予言の書」こそ、紙媒体・少部数の「仕事」に相応しい。
ということで、これまた昨年8月刊の自社出版ではなく他社出版。そうして、前著(『江戸の崖 東京の崖』2012年、講談社、5刷)同様、いまはやりの「地形」や「古地図」、あるいは「街歩き」の本と誤解されているようだが、そうではない。では、何の書なのかというと、それをここで明かすわけにはいかない。興召す向きはこちらも購読されたし。
 
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