絵本『さいごのぞう』が出来上がりました!
はじめまして。キーステージ21の中村と申します。
この度、キーステージ21ではソーシャルブックス第3弾として、絵本『さいごのぞう』を刊行いたしました。
タイトルの通り、地球で「さいごのぞう」になってしまったぞうのお話です。「ゾウがこの世からいなくなる」って、どういうこと?そもそも、ゾウってそんなに少なくなっているの?…という声が聞こえてきそうです。大きな体のゾウ。生態系の頂点にいるといってもいいゾウが生きにくい世界は、他の生きものにとっても生きやすい世界ではなくなっているのではないか。この絵本は、そういうところからスタートしています。自分たちの今いる世界のことや、わかっていると思っている様々なことが、実は表面に見えているある一部分だけだということ。知らなかったことに気付く、そのきっかけになるような絵本になったと思います。ジャーナリストやミュージシャン、写真家といった様々な方がこの本の「思い」に賛同し、推薦の言葉を寄せてくださいました。(『さいごのぞう』特設ページ)
私が『さいごのぞう』に出合ったのは2013年の初夏の暑い日でした。子育てのために仕事から離れて16年。縁あってキーステージ21で仕事を始め、久しぶりの絵本編集の仕事に興奮する気持ちを、私は必死でおさえていました。この日は、作者の井上奈奈さんとはじめてお会いすることになっていたのです。井上さんを待つ時間の長かったこと。柔らかな笑顔とともに入ってこられた井上さんと、その時何を話したのか、正直なところあまり覚えていないのです。ただ、真っ直ぐに相手の目を見つめて思いを語る井上さんの思いを強く感じたことが思い出されます。
それから半年の間、作者と一緒に一冊の本を作り上げる過程は、本当に楽しいものでした。作り手の想いを読者に伝えられる絵本にするために、色々と修正もお願いしました。編集者として、これでよかったのだろうかと悩むこともありましたが、本が出来上がった後のインタビューで井上さんが話して下さった「修正していくことで表現したかったことがより際立つ形に出来たと思う」というひとことは、編集者冥利につきる、本当に嬉しいことばでした。(井上奈奈さんインタビュー)その言葉で、私はやっと出来上がった本を心から大切に思えるようになった気がしています。
それにしても、16年の間に出版の世界も大きく様変わりしていて、驚くことばかりでした。デジタル化した作業の何と多いこと。初めてのような作業に戸惑いながら、たくさんの方に助けていただいて出来上がった絵本です。作り手の思いは、読者に伝わるでしょうか。こうしてネット上で本のことをお知らせできる、これも大きな変化です。情報があまりにも多い今。この情報を受けとってくださる方がたくさんいますように。この絵本とたくさんの人が出合ってくださいますように。そして、絵本を見てくださった方の思いが、私たちの元にも届いてくるといいな…と思っています。
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