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精神障害当事者の体験を通して

 やどかり出版は,埼玉県の精神障害者福祉工場・やどかり情報館の出版部門です.他に,印刷,研究所があります.病気を持つ人間・持たない人間が,共に働き,その仕事のプロフェッショナルを目指して,各々邁進しております.

 専門家の書いた本は多数あれど,当事者の視点から書かれた本は少ない……精神障害当事者ならではの情報を発信していく基地にしていきたい,という思いで始まった私たちの小さな活動から生まれた本の紹介をします.

 「やどかりブックレット・障害者からのメッセージ」というシリーズを作り始めたのは,やどかり出版文化事業部の体験発表会がきっかけでした.体験発表会は 1997(平成9)年から,1年に数回のペースで現在までに20回行っており,これからも続けていきたい事業のひとつです.「障害を持ちつつ生きる」ということには意味があるとここで働く私たちは考えています.その体験を語ることで,障害のある・なしにかかわらず他者に何か提供できるものがあるはずだ,という思いで自分たちが働く建物を会場に行ってきました.
 体験発表会はその日,その時間かぎりの出来事にすぎません.しかし,より多くの人たちに自分たちが大事にしていることを伝えたい,特にいまだ精神病院に長期入院している人たちや,病気を抱えて孤立している人たち,また,地域で孤立して生きている人たちに絶望することはないんだということを伝えたい.そういった話し合いから,このブックレットシリーズが生まれました.

 2002(平成14)年4月現在,やどかりブックレットは7冊目を数えました.障害当事者自身の声を中心に内容をまとめる姿勢は変わっていませんが,体験談だけでなくテーマをしぼって意見を出すブックレットも作るようになりました.

 そして,7冊目は「地域で私たちが生きるために 心の病をかかえて」というタイトルで,練馬区共同作業所連絡会学習会実行委員会とやどかり出版との連携で作りました.前述の学習会実行委員会主催の講演会で,3か所の作業所の3名の当事者が語った体験と,講演会の実行委員の座談会をもとにして構成されています.講演会を皆の手で企画し運営する過程そのものにも,さまざまな学びがあり,日常,近くで活動しながらも行き来がしにくい作業同士の結びつきも深まりました.具体的には,喫茶の共同運営を行うようになったり,日常の活動での連携につながるようになりました.講演会発表者自身だけでなく,講演会に関わる人びとが元気づけられ,変わっていく様子がこのブックレットから少しでも伝わればいいと思っております。

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