創業5年目です。ようやく落ち着いて模索できるようになりました
弊社(メディアイランド)はあと4カ月で創業してまる五年となります。このたび版元日誌を書く機会を与えられたので、この五年をちょっと振り返って書くことにしました。正しくは、ようやく振り返ることができるようになった、かな。
編集・制作という分野では30年ちかく仕事をしてきて、それなりに見識もあるとは思いますが、出版という分野(要するに本を作って流通させるということ)について、さあ、いちから勉強だということになりました。
そんな時期。巡り合わせというものは不思議なもので、老舗版元のある部門をを引き継いで、新たに出版社を営むことにしました。それが2009年1月。出版が編集とは全く異なる分野であることについて、スタート直後から思い知りました。(いや、出版社経営が、といった方がいいのかな?)
とくに苦労したのが、大取次との口座開設です。詳しい経緯は割愛しますが、ゼロからのスタートならまだましで、実はマイナスからのスタートだったのでした。(世間知らずのわたしは、名のある版元から引き継いだので「簡単だ」と思っていたのです。)
そんな中で、いち早く口座を開設してくださった大取次の書籍仕入担当のT課長は、いまは別の部署におられますが、先日久し振りに電話で「応援していますから」というひとことをいただいて、涙が出るほど嬉しかったです。
弊社の名称「メディアイランド」を「語呂がよくていい名前ですね」と褒めてくださったのも、T課長。期待を裏切ってはいけないと、気も引き締まります。
ここ五年間、見よう見まねでなんとかやってはきたものの、失敗も少なからずあります。できていないこともいっぱい。迷惑をかけた方々もたくさんおられます。しかし、著者をはじめ、さまざまな方(もちろん版元ドットコムの皆様)の物心両面にわたる支えがなかったら、とうに放り投げていただろうとも思うのです。
前の会社から引き継いだ企画の出版は完了し、いまはうち独自の出版物にシフトしています。また、他版元からの依頼された企画制作にも積極的に取り組んでいます。ようやく落ち着いて(長いなあ。赤ん坊が小学校に通うようになるくらい長かった……)、模索できる状況になりました。
「落ち着いて模索……」。
なんだかおかしな表現ですね。でも、それとしか言えません(苦笑)。
今年、大人気だった朝ドラの「あまちゃん」で大女優の鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子がほんとに魅力的だった)が、主人公のアキにこのように諭す場面がありました。「(アキは)女優には向いていないけれど、向いていないことを続けることもすばらしい」と。自分に言われているようで、沁みました……。
さて。最新刊のご案内をいたします。
写真集『北極シロクマ 南極ペンギン』新装版
5年前に発行した『北極シロクマ 南極ペンギン』をリニューアル。
実物大のシロクマとペンギンのポスター付です。
この本を1冊お買い上げごとに、「森の長城プロジェクト」に苗木を1本寄付します。これは、著者のリサ・ヴォートさんと、企画の株式会社MCプランニング、プロデュースの公益社団法人三世代生活文化研究所の発案です。
本書のシロクマやペンギンの写真がこうも人の心を癒すのは、著者のリサさんが、「同じ地球に生きるいのち」として交流・交歓しているからなのでしょうね。本の代金の一部が、東北の海岸を守る防潮林に生まれ変わる、そんな意義あるかつ素敵な営みに、弊社もすこしでもかかわることができて、ありがたいな、と思っています。
それではまた。