低正味・スピード納品!
読者のみなさん、「事故伝」って、知っていますか?「いやー若い頃、峠を攻めすぎて、ガケから転落しちゃってさぁ」とか、「彼女と携帯で話しながら運転していたら、前の車へ追突して鞭打ちで大変だったよ」という思い出話じゃないですよ。
書店から出した書籍の注文を調達できないと、注文票が送り返されてくるのですが、この送り返されてきた伝票を「事故伝」というのです。
ところで、私の勤務する出版社トランスビューは、取次(本の問屋)ルートを通さずに、“低正味・スピード納品”をキャッチフレーズに書店への直接卸しを中心とした営業を試みている(が、特殊な出版内容という訳ではない。
書籍の一覧はこちら→http://www.hanmoto.com/bd/idx_transview.html)。
理由のひとつは、書店のマージンを最大限に確保したいということ。プロのサービスには元手が要るものだ。仕入れルートの差が利益の差になった時、書店でのショッピングがもっと楽しくなるに違いない。
とはいうものの我社が売上的に十分貢献するには、まだまだ出版点数が少ないのですが・・・。
と、いうことで大手取次と取引のない小社の大きな悩みが、冒頭の「事故伝」。
出来たばかりの極小出版社であるトランスビューの試みを知る書店員は少なく、お客さんから注文のあった書籍を取寄せようと、つい取次へ注文票を廻してしまう・・・。すると憐れ、この注文票、<不扱い>とハンコを押され「事故伝」となって戻ってくるのです。しかも運が悪ければ、3〜4ヶ月も後に!
以前と比べれば、発注のオンライン化が進み、こうしたケースは少なくなってはいる。だが、中小書店のほとんど、大型店やネット書店の一部は、取次の作成した書誌データ(その取次と取引がある出版社のデータ)を使用している。あまり知られていないが、新聞書評などに載った本を、有名ネット書店で買おうとしても検索すら出来ないケースは、ままあることだ。結局、その本は存在するのか、どうすれば入手できるのかを調べる事は非常に労力のいる作業になる。
読者・小売店の利便性を第一に考えた出版業界共有の、データベースの整備が待望される。運営しようと活動している方々もいる。近い将来実現し、ずっと本を探しやすくなることだろう。
読者の皆さん。それまでは、小社の出版物を書店でお取寄せの際は、「“低正味・スピード納品”のトランスビューへ直接発注して下さい。」とお申し添え下さい!