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学校に行かなかった子ども達の今って?

東京は新宿区曙橋の、小さな小さな出版社から日誌を発信させていただきます。主に、教育や社会問題に関すること、特に、不登校やフリースクールをテーマにして、当事者視点を大事に発信してきました。
さて、みなさん。最近の学校に行かない子ども達=不登校の子ども達の数は、ご存知ですか?

1980年代に「登校拒否」と呼ばれ、90年代に入ると「不登校」という名前で社会問題になりましたが、その数は、2000年付近をピークに少し減少したものの、ほぼ高止まりのままで、文科省発表の数字ではいまだに小中学生あわせて約12万人の不登校の子ども達がいる状況が続いています(統計を参考にグラフにしてみました)。
さらに少子化の現在、不登校の割合は過去最高となっています。そういう意味では、以前とあまり変わっていないさまざまな問題が、そこに潜んでいるように思います。
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この日誌を書かせていただいている私は、1989年に学校に行かなくなった一人です。今まで、不登校や不登校の子どもたちが通ってきたフリースクール(学校に行かない子どもなどが通う育ちの場)で育ち、それらについて、さまざまな人とつながりながら、考え、深めてきました。
そこで感じるのは、不登校は様々な対応や対策がとられてきましたが、今の子どもや、保護者、家族などの苦しさや混乱は、20年前に経験した私の体験と似たような点がまだ多くあり、学校に行かないことで、苦しめられたり追い込まれている状況は変わっていないと思える状況です。特に、不登校の子どもの親御さん(祖父母の方々も含めて)の不安や混乱は大きく、さらに孤独や不安を抱えている方もまだまだおられます。
私の親は、同じ不登校の経験を持つ人たちとのつながりによって理解を深め、当事者である私自身の状況を理解してくれることで楽になっていった経験を持っていますが、それらの「つながり」や「情報」はまだまだ少なく、また届いていないことも多く、課題は多くあります。
今は、ひきこもりやニート、発達障がいなど、さまざまな問題が出てきました。そこで最近「不登校」というテーマは、あまり多くは触れられない状況となってきているようにも思います。
そういう意味で、ただ対処法や情報だけではなく、これまでの経験の蓄積を持っている人たちと当事者が、つながり深く考えあうことのできるような継続的な作業が必要なのではないか、と感じています。

そこで、私たちが発売した最新刊は、それら不登校の子ども本人や親に向けた、過去に不登校を経験したOB・OG達のインタビューをまとめたものとなりました。
僕は僕でよかったんだ――学校に行かなかった32人との再会』と題したこの本は、不登校やフリースクールの経験を経た32人が、どのような過程で、今に至っているのか、そして今の思いはどんなところにあるのかについて知ってほしいと企画されました。
20代から40代まで、それぞれ紆余曲折を経ながら今を生きている様子は、学校に行かない経験をしても、さまざまに生きる道があり、それらの経験が決して無駄にはなっていないことが伝わってきます。
なにより当事者本人の語りは、親達の多くが求めていることでもあります。それらのニーズに、この本が少しでも役に立てればよいな、と思っています。
この本は、インタビューに加え、編者である「東京シューレ」の25年以上にわたる活動年表や詳細が掲載されているほか、元教育担当の新聞記者だった矢倉久泰さんと東京シューレ代表の奥地圭子が、この25年の教育・不登校やフリースクールの活動についてを振り返る対談も収録されていますので、それらの歴史も合わせて知ることができます。研究をされている方や、学生さんのレポート研究などでの参考資料としても活用していただけます。

先日の2月14日、この本の出版記念と子ども達が作った映画の上映を兼ねてのイベントが東京都北区王子で開催されました。当日は、前日に「朝日新聞」に紹介されたこともあって、多くの初めて来られる方々で会場がいっぱいになりました。少しずつ確実に、メッセージを伝え続けていきたいところです。

話は変わりますが、まもなく東日本大震災から一年経ちます。
私たちの版元は、直接、震災に関連した発信は行っていませんが、3.11以降、脱原発のNPO団体が隣にあったこともあって、取材やユーストリーム動画中継、そのほかの取り組みなど、めまぐるしく次々に起こる状況を(ちょっと手伝いつつ)目の当りにしてきました。
まもなく一年経とうとしていても、被災地の状況はまだまだですし、原発の「終息」には程遠い状況を多くの人たちが感じておられるかと思います。私たちは今後も関心を持ち続け、できることを小さくとも続けていければいいですね。
人とのつながりがなかなか持ちにくくなっていると言われる世の中で、本をつくり発信している私たちが何ができるのか。私の模索は続いていますが、考え続けて、少しでも動いていく。そこから楽しいことや新たなつながりを広げていきたい。楽しい・面白い話がありましたら、ぜひつながっていきたいと思っています。
 
東京シューレ出版 の本一覧

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