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読めます? 梧桐書院

「ごとうしょいん」と読みます。領収書をもらうときのために、財布には名刺を入れるようになりました。口で説明するのはやっかいなので。
知識豊富な方々は、「河東碧梧桐(かわひがしへきごとう)のゴトウね」とおっしゃいますが、私自身、ここに勤めるまで、読めるどころか、こういう名の出版社があることも知りませんでした。別の出版社で編集者をしていたにもかかわらず。
実は、当社は戦前からの歴史を重ねる版元ではありますが、歴史があれば紆余曲折も数々あったようで、私がここに勤めました6年ほど前も、ちょうど民事再生終了間近(再生完了いたしております)とはいえ、それはそれは驚きの連続でした。
なにせ、私が以前、身をおいていたのは大手と呼ばれる26階建てのシンデレラ城の中の書籍編集部。今考えると、あれはまさにおとぎの国の話だったのではないかと思うくらい、甘美な世界でした。自分が編集した書籍は必ず書店の新刊台に載り、「部決」と聞けばシンデレラ城内で決めることで、取次という名のビックサンダーマウンテンへお伺いをたて、希望部数から下げられることがあるなどということもまったく知らず、ましてや、新刊委託で収めたものが半年後に清算されるといった取引条件など知る由もなかったのであります。ついでに言うと、「歩戻し」ってなんなん?
シンデレラ城の外には、まさしく世にも恐ろしい世界が広がっていました。ビックサンダーマウンテンTとの取引では、新刊委託は14カ月後精算だったのです。
著者が何カ月もかけて執筆し、その原稿を編集者が徹夜を繰り返しながらも手間隙かけて読者に届く本という形に整え、その間、校閲者が信頼性の高いものへと手を入れ、装幀家がその包みに息吹を吹き込み、やっとの思いで作り上げた書籍という名の伝書鳩たちは、ビックサンダーマウンテンTに納品してから、1年を越しさらに2カ月を経て対価が支払われるというわけです。その間、もちろん返品鳩は戻ってきます。精算もされます。
さてさて、しかしながらめでたく昨年の10月から、梧桐書院から生れた新しい鳩たちは、ビックサンダーマウンテンTをくぐった半年後に、その代金をもらえるようになりました。めでたしめでたし。
……ってなわけにはいきません。現実はやっぱりそんなに甘くはないのです。いまだに、注文保留が25%、つまりは注文品のお支払いを保留しますよ、という定めがあり、その精算年月はなんと14カ月後となっております。

それはそれとして、ほんとうはそれはそれとしたくないのですが……。
版元たるもの、かたやシンデレラ城、かたや長屋暮らしと、環境は違うものの新しい鳩たちに飛び立ってもらうのがつとめ。シンデレラ城から飛び立つ鳩よりも長く、高く、優雅に知的に、面白く飛ぶ鳩をと、昨年11月から新体制でのぞみ、新しい鳩たちが次々飛び立っております。
たとえば、立川流家元、立川談志三部作『談志 最後の落語論』(第4刷)、『談志 最後の根多帳』(第3刷)、そして『談志 最後の狂気』こちらは初の自叙伝となりますが、来春発売に向けて羽を整えている最中。その間に家元の素顔を垣間見ることができるDVD BOOKも進行中。『GOTO DVD BOOK談志が帰ってきた夜』1月発売予定です。
9月発刊の杉本彩さん初の自叙伝、好評4刷の『リベラルライフ』も羽ばたいております。
12月3日には、この本をもとに再現VTRでお届けする「金曜のキセキ」が放送予定。
ビジネス書では岡崎太郎さんの『金がないなら知恵をしぼれ!ビジネス着想100本ノック』(第3刷)はじめ、内藤誼人さんの『猛獣使いの心理術』、細谷功さんの『象の鼻としっぽ』など好調、充実のラインナップ。おっと、私が個人的にも愛してやまない立川志らく師匠の『立川流鎖国論』もただいま2刷出来間近。むふふ。と一気に並べ立ててしまいましたが、興味のある方はぜひ、ホームページを覗いてみてください。
12月刊は、『あなたの癌は、がんもどき』と『東京百年レストラン』の2冊。『あなたの癌は、がんもどき』は15年前に「がんもどき理論」で医学界に大論争を巻き起こした孤高の医師、近藤誠さん著。最新臨床データを元にした「がんもどき理論」集大成。『東京百年レストラン』はネットに溢れ続けるお子ちゃま系や、セレブもどきの流行レストランではなく、ほんとうの大人のための厳選店を伝説の自腹サラリーマン、伊藤章良さんが書き綴りました。一癖ありの著者との会食にもぴったりの店があるはずです。編集者のみなさま、ぜひお買い求めくださいませ。営業の方々、大切な方の接待にもぜひ。

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