版元ドットコム

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図書カードを持って、ビッグサイトを出よう。

さる2010年7月8日から10日までの4日間、東京国際ブックフェアが行われました。会場は東京ビッグサイト、23区内で最も書店密度の低い(東京都書店商業組合青年部HPにて目視確認)有明エリアです。

版元ドットコムは、3年連続での出展。今回のテーマは「本屋さんへいこう!」。
“町の本屋さんへもっと足を運んで欲しい”という趣旨のもとアイディアを出し合った幾つかの企画のうち、私が担当したのが“本屋さんへ行こう!「TIBFで図書カードをGET!」キャンペーン”。通例となっている「読者謝恩」値引販売をとりやめお買上金額に応じた図書カードにより読者へ還元する、東京国際ブックフェア史上で前例のない販売方法でした。

そもそもの発端は、読者と書店の両方に感謝の気持ちをあらわしたいと、2月24日に行われた定例会議の席上で提案された〔版元ドットコム10周年キャンペーン〕。気持ちを金額で測るわけではないけれど、どうせだったら出来るだけ多くの図書カードを読者へプレゼントして、より沢山の書店さんへ足を運んで頂きたい。だったら、ちょうど実行委員を募り本格始動のタイミングだった、会員版元と読者や書店の皆様をつなげるイベント“版元ドットコム夏祭りin TIBF”でも図書カードで読者還元をしようということになったのです。

さらにさらに還元金額を積み増すために、版元ドットコム以外の出展社をこのキャンペーンにお誘いすることに。
ということで、ローテクゆえに使いまわしが良いスタンプカード形式を採用。来場のお客様がキャンペーン参加各社を巡回してくださることを見込んで、スタンプラリーによるWチャンス(抽選で10,000円分プレゼント)を設定しました。

キャンペーンの概要は次の通り。
1)販売価格は、キャンペーン参加各社で決定(版元ドットコムは定価販売)
2)スタンプの捺印基準は各社で決定(版元ドットコムは500円につき1個=還元率20%)
3)スタンプ5つにつき全国共通図書カード500円分を進呈
4)図書カードとの交換に使われたスタンプの個数×100円を各社が負担
5)2社以上のスタンプを集めるとWチャンスの抽選参加資格を取得

さて、総額200万円分の図書カード還元を目指してお誘い開始。TIBF出展予定出版社の知人へメール・電話・FAX。

「おもしろいね、これまで書店さんが蚊帳のソトっていうのが気になっていたんだよ」
「会場でいくら売ったって高が知れているから、町の書店さんへも波及効果があるというのは良いね」
「値引販売しつつ、スタンプをサービスしてもOKなんだよね」
「売上が落ちてしまうのではないですか?」
「特売会場としてのイメージが崩れるのは避けたい」
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第一声はさまざまでしが、出版社、特に営業職の方からの評価は概ね好評で「なかなかスジがよい」とお褒めの言葉。
これは大きな動きになるかとほくそえむ。

しかし、即決してくださったアスク出版平凡社河出書房新社国書刊行会の後が続かない。本番まであと3ヶ月。僅かに始動が遅かったか。もともとTIBFは出版社グループでの出展が多いので各社の意思統一が難しい側面もある。おまけにちょっとした横槍も入る。スジが良くてもなかなか一筋縄には行かないものだ。

6月9日 参加各社のご担当と、版元ドットコム夏祭り実行委員とのミーティング。企画の漏れを塞ぐ貴重な意見をいただく。

6月10日 まったく面識のなかった日貿出版社よりキャンペーン参加希望のご連絡。報道とTIBF出展社へ無差別に送ったリリースをご覧になったとのこと。

6月15日 他の夏祭り実行委員の紹介で、日本聖書協会が参加決定。これで6社1団体(48版元)が揃う。
6月29日 スタンプカードを入稿。ポスターも出来る。プリントパックで30,000枚を作成。使い切るだろうか。ええぃ足りなくなるよりマシだ。

tosho_poster_hanmoto.pngtosho_stamp_3.pngtosho_stamp_4.png

6月30日 各社オリジナルの浸透印スタンプが届く。作成はグラナーツ工房。データを入稿したのは28日、早い。安い。助かった。

そして当日、7月8日 午前11時、早くもスタンプカードと図書カードとの引換があったとの報。最初のお客様はどんな人かな・・・と思ったら、版元ドットコム夏祭り実行委員の塚田さん。おいっ。しかも他の参加出版社で買い物してないし。Wチャンスの10,000円分プレゼントに参加できませんよ。

_SDI0403.png恭文堂書店様・伊野尾書店様にご助力を賜りました。ご協力なくしては本キャンペーンの実施は不可能でした。心からの感謝を申し上げます。

■付記
東京国際ブックフェア会場での販売に際し版元ドットコムは定価販売としました。昨年までは多くの出展社と同様に2割引での販売でした。その影響を測るため売上に関するデータを記します。
単位面積あたりの売上は、対前年比105.8%。最も懸念された売上減少は以外にも杞憂でした。なお、周囲で出展していたアスク出版・平凡社・国書刊行会は、対前年比108%〜120%とのことです。
また、版元ドットコムでのお買上分により図書カードで還元された金額は288,200円でした。

<小売価格>
2009年 一律2割引
2010年 定価

<売上(定価換算)>
2009年 3,414,090円
2010年 2,608,937円(対前年比76.4%)

<商品陳列床面積>
2009年 約18平方メートル
2010年 約13平方メートル(対前年比72.2%)

<1平方メートルあたり売上(定価換算)>
2009年 189,672円
2010年 200,687円(対前年比105.8%)

<キャンペーン結果>
回収スタンプカード 431枚
読者還元図書カード 399,500円分(スタンプ還元359,500円分+Wチャンス抽選40,000円分)

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