段ボール書棚の舞台裏
7月8日から11日まで、東京ビッグサイトにおいて「第17回東京国際ブックフェア2010」が開催され、76,297人の来場があったそうです。
版元ドットコムでも、一昨年から3回目となる共同出展を行い、52の会員社と協賛社がそれぞれの本や業務内容をアピールしましたが、その舞台裏の一部をご紹介します。
講談社や小学館などの大手版元よりも広いスペースの版元ドットコムブースの特色は、なんといっても段ボール。出展社の書棚や高さ2.5メートルのブース看板、レジ台、そしてイベントスペースのステージまで什器の多くが段ボール(正確には強化段ボール)で作られていたのです。
実行委員がネットで偶然に見つけたタカムラ産業にかけあって制作してもらったもので、開催一カ月前の6月3日には、5人の実行委員で那須塩原市にあるタカムラ産業本社に出向きました。
というのも、事前に書棚の試作品を送ってもらい、実行委員会から要望点をタカムラ産業の担当者に伝えていたのですが、その「再校」が完成したとのことで、「出張校正」へと向かったワケです。
都内から車で約2時間半、途中で佐野ラーメンを食しつつタカムラ産業に到着。最初に、事務所で木工メーカーだったタカムラ産業が段ボールを手掛けるようになった経緯などをお聞きして、いよいよ工場へ。
長さが10メートルはあろうかという巨大な「原紙」が積まれた工場に入ると、なにもかもが段ボール製。パレットまで段ボールでできているのにびっくりしていると(業界では珍しくないそうです、念のため)、梱包用段ボールを制作されている現場を紹介されました。
その時は、洗濯機ほどの大きさの医療機器を梱包するための特注段ボール箱を試作されていたのですが、最大の驚きは中身となる機器のサンプルまで段ボールで制作されていたことです。
しかも、スイッチ類にいたるまですべてが段ボールで再現されていて、彼らの「段ボール愛」を垣間見ることができて、なんともうれしくなりました。
その他にも、洋服を着せるマネキンなど段ボール製品の用途の広さに感心するばかり。肝心の書棚についても、各委員から新たな要望が出され、6月末に「三校」を送ってもらい、無事に当日を迎えることができたのです。
段ボール家具をオーダーで作るという、経験のないことにトライしたため、至らない点も多々あったかと思います。また、タカムラ産業の皆さんには、無理難題を言って申し訳ありませんでした。
しかし、ブースを訪れてくださった何人もから、「この棚はどこで買えるのか」といった問い合わせを受け、また個人的には会場に来てくれた友人たちから「ビンボーくさいと思っていたけれど、すごいおしゃれでびっくりした」と言ってもらい、ほっと胸をなでおろしました。
この段ボール製品たちは、来年も利用できるように保管しています。他のブースの装飾の多くが廃棄される現状をみると、この点でも再利用できる強化段ボールにしてよかったと、解体作業が進む会場内でひとり思ったしだいです。
スチール製よりもずっと軽くて、コンパクトにたためる段ボール書棚は、出張販売にも便利なので、版元や書店でも活用されてみては!?
【タカムラ産業のホームページ】
http://e-takamura.co.jp/