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震災から15年・・・

1月16日、フジテレビ(関西テレビ)のドラマ「神戸新聞の7日間」を、連れ合いと二人で観ました(嵐の櫻井翔君ら出演)。
そうですね、15年・・・。その2日前には、カリブ海のハイチで大規模な地震が起き、何万人もの方が亡くなりました。

兵庫県出身の私は、15年前、震災発生の後、西宮と神戸に行きました。
テレビや新聞が伝える死者の数は、毎日毎日、どんどん増えていくのに、実態が良くわからず(情報が錯綜して)、被災地に住んでいる親戚や友人には、全然電話が通じない。「公衆電話が、ええらしいぞ」と人づてに教えてもらい、ようやく幸いにも全員の無事を確認。ほっとすると同時に、「自分の知り合いだけが無事やったらええんか?」と疑問に思い、被災地に行ったのです。

私が最初に被災地に行った頃は、電車も西宮あたりまでは運行していて、その駅から神戸の中心・三宮までバス(ボランティア用)が走っていました。
そのバスを待つ列が、朝早い時間やったのに、かなり長いんです。若い子もぎょうさんおりました。
上空には、マスコミのヘリコプターがかなりの騒音をまき散らしながら飛んでいます。横っ腹の社名をきらめかせて。
「あいつら、何の役に立ってるねん!」
バスを待つ列の中から、そんな声が出ると、
「そうや、ヘリコプターから水やら食料やら毛布やら落とさんかい!」
という別の声が応じます。

当初マスコミが流したのは、どれだけ悲惨か、という悲惨合戦でした。遺体安置所にもぐりこんで、スクープを気取った写真週刊誌も・・・。
「そんなこと、被災者は知りとうないやろ。被災者でない僕も、何がどれだけ不足しているのか、どこに持って行ったらええんか、自分に何ができるんか、を知りたいねん」
冒頭で紹介したドラマ「神戸新聞の7日間」は、地元新聞の報道が変わる転機をよく伝えていました。「地元新聞やからこそ、被災者に必要な情報を届けるんや」と。

私の人生にとって、被災地で感じたことは人生観を変える大きな意味を持ちましたが、それはごくごく限られたほんの小さな経験でしかありません。被災することの本当の意味を知ったのは、数々の「本」を読んだからです。
家が燃えてるのに水が出ず、被災者に殴られた消防士の方たちの記録。次々に運び込まれる負傷者を不眠不休で治療する医師や看護士たちの記録。心と体に深い傷を追った子どもを、被災した学校で教える教師の苦闘の記録。ボランティアの記録・・・。
あの大変な最中に助け合い、ヒトのために尽くしている人たちの苦闘を読んで、自分のささやかな経験とあわせて、初めて「少し分かったような気がした」のです。

テレビは、スイッチを入れると否応なく情報が飛び込んできます(しかも強烈に)。でも、書籍(本)は、こちらがかなり能動的にならないと読まないし読めない。見たくない情報は、決して勝手に飛び込んできたりしない(そこらへんが、デジタルでどう変わっていくのだろう?)。自分自身の頭でじっくり考えながら読める。
出版社がそんなことを言っても手前味噌ですが、私はあのときの経験からも「書籍」というものに深い信頼を置いています。実際、出版社の人間は、かなり本を読む層ではないでしょうか?(他社さんの本) 版元=一大購読層ですよね。

昨年12月9日付の版元日誌「私はここにいる!からはじめること」は、東京シューレ出版の須永さんが書かれたのですが、「うん、うん」とうなずきながら読ませていただきました。
そうですね、国なんぞというものが自ら進んで手を差し伸べるはずもなく、「とにかく、ここにおるで! こうなってるねん!」という声をあげていかないといけませんよね。しかも、同じような人たちと手を組んで、できるだけ大きな声で。
そして、私たち版元は、声をあげられなかった人や、あげていても無視されている人たちに光を当てることができる。そういう本が、この版元ドットコムの中にもたくさんあります。

2009年1年間の震災被災者・孤独死は62人。業者向け震災特別融資4万7000件の内、2009年末までに返済不能となった業者は、7000件。
今も続く震災。この人たちの声なき声を世に問う「書籍」―私も待ってます。自分でまとまられればいいのですが、いかんせん力量不足。

私たち版元はここにいる! 今年も、いろんなジャンルの、いろんな視点の、きらりと光る本が、多種多様に出版されるよう、みなさん、ぼちぼち がんばりましょう!

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