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つまり、売れる本作ったから注文ください。

978_4_904702_05_5.jpg978_4_904702_06_2.jpg 羽鳥書店、昨年4月に創業し7月より刊行を開始して以来、この1月には6点目、7点目にあたる『憲法入門』長谷部恭男・著、『ギョッとする江戸の絵画』辻惟雄・著を刊行するまでにいたりました。
 そして、昨年末には日販との口座を開くことができ、それまでは八木書店扱いで配本をしていた日販帳合の書店には「憲法入門」より新刊委託での配本も可能となりました。
 ただ、ここで大手取次の中で日販との直接の取引が可能となったからといって、新刊委託に関しては配本パターンを使うということは選択をしませんでした。事前に注文をいただいた書店に対してのみいただいた数字通りの数を出庫する、ということにしました。
 出版は文化であるとしても羽鳥書店は営利企業であり、著者が本を書くという行為が自分の考えを多くの人に伝えるという目的もある以上、出版社の営業担当としては1冊でも多く売れるための努力をするべきであり、そのためには1冊でも多くの本を出庫させ、1店舗でも多くの店に本を届け、少しでも多くの人の羽鳥書店の本を目に触れさせる必要があると思います。そのためには、売上実績に基づいて作られた配本パターンは非常に魅力的な道具であるとも思っています。
 ならばなぜ、この便利な道具を使わなかったのか。
 それは、前回のここで書いているように前職が書店員だということが関係しているのかもしれません。何の根拠もありませんが、書店員というものを信じています。一番読者の側にいて日々彼らと接している書店員こそが一番、読者の求めているものを知っているはずであり、自店舗の品揃えには何が一番ふさわしいかも知っているはずだからです。だから、書店員に部数決定を任せることがもっとも無駄のない流通を実現するのではないか。無論、彼らとてすべてがわかっているわけではなく、本当に何が売れるのかは完全には把握できはしないでしょう。FАX1枚で判断させるのも横暴です。だからこそ、「委託」というためしに置いてみるということが可能となる仕組みがあるのだと思っています。(あるいは返品条件付とか)
 実際に書店の現場ですべて何を仕入れるかを決めることは現実的ではないという認識も持っています。どちらが良いとか悪いとかではなくてバランスの問題なのかもしれませんが。

 青土社から『囚人のジレンマ』という本が出版されています。そもそもこの本をどこに並べるか自体がジレンマになってしまうような本なのですが、表題となった「囚人のジレンマ」とは乱暴に説明してしまえば、お互いが自分の利益を最高にしようとすると全体的にはもっとも利益が少なくなってしまうという構図です。出版業界もこの状況に陥っているのではないのか。証拠なんてどこにもない単なる思い付きですけど。
 1点あたりの売上部数が下がった場合、刊行点数を増やせば売上は維持できます。仮にすべての出版社が同様に刊行点数を増やせば、それ自体は問題はないと思います。ますます選択肢が広がるからです。でもそれが選択以前に書店に届けられてしまったら、売り場は必要以上の本であふれかえってしまう危険性があります。陳列期間の減少などでさらに1点あたりの売上を減少させる危険性があるし、検品・返品といったコストを上昇させ、誰も得をしないといったことだって考えられます。
 そうはいっても自分だけ「チキンレース」から降りて利益を失うこともできないでしょう。

 幸いなことなのか、羽鳥書店は新規創業の出版社であり、書店との関係を一から作るしかなかったので、「売れる本を作った、送るから売ってくれ」ではなく「売れる本を作った」「これぐらいは売れそうだから送ってくれ。可能な限り責任をもって売る努力を店頭でする」「読者の皆さん、この店にいけばこの本が手にはいります」という関係でひとまずやってみたい思っています。

 生意気なことを書いてしまいましたが、創業1年にも満たない出版社の新米営業のたわごとでしかありません。これが正解でも唯一の選択肢だとも思っていません。日々勉強です。半年後に全然違うことを書いていたら、やっとわかってきたかと、大きな心で受け入れてください。お願いします。

 それから、流行にのって hatori_press の名前でTwitter初めてしまいました。ホームページ(http://www.hatorishoten.co.jp/)商品説明はこんな感じで(http://www.hatorishoten.co.jp/56_72.html)それにブログ(http://hatoripress.blog.so-net.ne.jp/)をやっているうえ、さらに情報発信です。この情報があふれすぎているといわれる状況の中で、伝えたい情報?を伝えるために(周囲に対抗して?)情報量を増やすという対応をしてしまいました。
 こんなことをしている者が、書店店頭にて本が溢れかえる、すなわち書店員が処理しきれない量を送り込む事を否定的に書いたことは明らかに矛盾です。自覚しています。すみません。

羽鳥書店の本の一覧

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