2011年大河の旅 「江〜姫たちの戦国〜」
歴史好きな女子を「歴女(レキジョ)」、歴史好きなアイドルを「歴ドル(レキドル)」という。歴史好きになったきっかけはゲームに登場する武将にキャラ萌えして、という例もあるようだ。
大河ドラマ「天地人」も若い女性視聴者を意識した配役で、内容もスイーツかつ奔放な演出がよく指摘される。いつの回だったか、千利休の娘(木村佳乃)が泥酔した武将・福島正則(石原良純)を座敷から庭の植え込みまで投げ飛ばしたりと、誰が「柔道一直線」をやれと。実はけっこう楽しんで視ているのだが、初音(長澤まさみ)はもう少しなんとかならないものか。
近江出身の武将では石田三成の人気が抜群だろう。「天地人」では小栗旬がツンデレ三成を演じており、奇抜な髪型であえて視聴者の賛否両論を誘うなど、おいしい役どころといえる。
当社でも3月に『近江が生んだ知将 石田三成』を発行し、著者による記念講演・散策会を開催したところ、100名以上にご参加いただいた。多くは滋賀県内の熟年世代だが、関東や中四国からの参加者はいずれも若い女性であった。
さらに、2011年の大河ドラマは 「江(ごう)〜姫たちの戦国〜」に決まった。「篤姫」の脚本家・田渕久美子が浅井三姉妹の三女・江を主人公にオリジナルストーリーを練るという。ちなみに「浅井」は「あざい」と読み、「江」は「小督」と書いて「おごう」と読ませることもある。と、注釈が必要なほど、全国的にはマイナーな存在だろう。
Yahoo!ニュースでも「龍馬の次は家光の母」と報じられたように、3度目の結婚で徳川秀忠(のちに徳川2代将軍)の正室となり、3代将軍・家光を生んだ。
母親のお市が織田信長の妹で、長女の茶々が豊臣秀吉の側室・淀殿となったことは、まだ知られているほうだろうか。父親は北近江を領した戦国大名の浅井長政。「小谷」は「おだに」と読む。信長と対立して姉川の合戦で敗れた後、居城である小谷城を攻められ自刃するが、近江では人気武将の一人である。
NHKによる制作発表が6月17日。翌日には滋賀県知事がコメントを発表し、5日後には長浜観光協会が三姉妹キャンペーンの幟を仕上げるなど、県内、特に北近江では大騒ぎだ。もちろん当社も同様である。なにしろ発表があったのは、6月25日発行(7月初旬発売)の最新刊『花々の系譜 浅井三姉妹物語』の校了後、あとは印刷・製本という時期であった。誘致運動のお役に立ち、「いつかは…」との淡い期待で企画した出版だが、まさかこんなに早く、このタイミングで決まるとは思ってもみなかった。
発表前からオビの推薦文は「天地人」時代考証ご担当の小和田哲男静岡大学名誉教授にお願いしていた。先生曰く「小谷落城後の浅井三姉妹を二女・初の目線で追った注目の近江戦国物語」。そう、お初さんこそ、長女(豊臣)と三女(徳川)の間で調停役として奔走し、戦乱の世を生き抜いた女性なのである。
地元としては江(小督)を「秀忠の妻」や「家光の母」よりも、「浅井三姉妹の三女」として売り込みたいところだ。
そして大河ドラマでは、二女お初さんの動きも深く追っていただき、若い女性はもちろんのこと幅広い層の方々が 「2011年大河の旅」で県内各地を訪れてくださることを願っている。
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