花伝社です。よろしくお願いします
昨年の11月に会員になりました、花伝社と申します。私は、編集および営業、その他もろもろを担当しております佐藤と申します。版元ドットコムでは、現在のところ昨年末の忘年会に参加したくらいしか活動(?)がありませんので、「はじめまして」というごあいさつから始めたほうがいいかもしれません。
というわけで皆様、新参者ではありますが今後ともよろしくお願いいたします。
初々しい風を装ってみましたが、弊社は今年で創業24年目。「老舗」にはほど遠いものの、「結構しぶとくやってる」くらいは言ってもいいのかな、という版元です。出版品目は、社会・人文を中心に、健康実用や芸術なども最近は増えています。
小さい会社ということもあり、私の仕事内容は編集・営業にはじまり、日々の出荷や取次計算書の作成など出版社の仕事のおおよそに関わっています。
会社に入った当初は、「ここは小さいけれどメーカーなんだなぁ」と日々感じ入っていました。著者に原稿をいただいてから本が出来上がり、商品として登録されて書店店頭に並べられるまでのプロセスの随所に顔を出すことができるのは、前職が編集プロダクション的環境だったこともあり、私にとって驚きと感動の連続だったのです。求人を探していたとき、出版社が「製造業」に分類されていることもあったりして違和感を抱いたのですが、実際にやってみるとなるほど、これは確かに製造業だわ、と。
しかしいま、入社2年目にして思うのは、確かに流通の位置づけでいえばメーカーだけど、仕事内容からいえば果たしてそうなのかな、ということです。
まず肝心の本の内容はもちろん著者に書いていただくものですし、本を実際に作るのは印刷所と製本所だし。さらに装丁はデザイナーにお願いしているわけで、関係各所に「お願い」するのが私たちの仕事で、お願いしなければ何もできないことに改めて気付かされる最近です。
本を売ることについても同様に、書店さんや取次さんにお願いしなければ、私たちは世の中に出版社として存在することはできません。本をただ「作る」ことと「世に問う」ことの間にある違いとは、出版にかかわる多くの方の努力や情熱という、途方もなく大きくて大切なものであることに気づくと、私たちの仕事が、自分たちだけでは何もかたちにならないことを思い知らされます。
ここで「本って誰のもの?」という基本的な問いに立ち返ってみると、やはり本の主役は、「著者」と「読者」であると思います。著者の持っている「知」や「情報」のうち、本のかたちで伝えられるものが、きちんとしかるべき読者の手元に届くこと。出版という営みが生み出す最大最高の意味は、この「著者と読者の出会い」であり、そこに仕事としてかかわる私たちは、出会いが少しでもうまく(できれば多く)成り立つように、どういった立ち回りができるのか、そこが問われているように思います。
書店・取次・出版社という出版三者の中で、著者と読者の出会いというゴールのために、モノや情報の「パス回し」をどれだけ適切にできるか。私はそれを、ひとりでは何もできない出版社という立場からこの仕事にかかわる者として、テーマに掲げたいと思います。
私が日々の仕事のなかで出すパスに対して、「そんなんじゃ届かないよ」あるいは「強すぎて取れないって」または「どこに出してんの?」など、忌憚のないお叱りのご意見を、これからもよろしくお願いします。そしていつか「ちゃんと受け取れたね」「たまにはいいパス出すじゃん」と言っていただけるようなパス回しで、著者と読者の出会いをお手伝いできることを目指し、日々精進していきたいと思います。