Deepな世界
取次から送られてくる短冊を机の上に並べ、そのタイトルを目で辿り、本の間に短冊を滑り込ませながら、出版というのは、ディープ世界への道案内だなあ、とふと思う。
数学の書も、物理の書も、心理学や社会学、そしてルポや武道の書物たちは、いずれも劣らぬディープな道の達人たちの手になるもの。
アカデミックなディープ世界は学問と呼ばれ、その道の達人たちは学者と呼ばれる。そして、今や世界の最先端をいく日本のサブカルチャーの旗手たちは、オタクと呼ばれたりする。学者もオタクも研究分野と方法の違いはあるもののディープな世界の住人たちには違いない。編集者はそのディープさに魅せられた人たちかも・・・なんていつものように午後の妄想に浸る。
数学、物理、心理学、社会学と正統派?のディープ世界から、弊社は、少しずつ最近、新たな世界にチャレンジし始めた。『武道の達人』『合気開眼』そして、今年になってからの『ウォームービー・ガイド』。
かつて「戦争を知らない子供たち」という歌があった。今や、大部分の人たちが、戦争を知らない世代に属している。未だに世界のあちこちで戦火が消えることはないが、私たちにとって「戦争」は、映画やメディアのなかのものでしかない。
「ウォームービー(戦争映画)をもとに戦争を知らない人たちが戦場疑似体験をし、戦争と平和についてもっと考えてほしい。」
というのが、著者田中昭成氏の願いである。
映画の中でもディープな部類だろう戦争映画。軍事知識に基づいた解説を読むと一味違う見方が生まれるはず。
時には、今まで訪れることのなかったディープな世界を探索してみるのはいかがでしょうか。