版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊

絵本の出版社「アスラン書房」は新聞も出しています

 はじめまして。2006年の7月から版元ドットコムに参加しましたアスラン書房の中村剛です。
 アスラン書房はもっぱら絵本を出している出版社です。社名の「アスラン」ですが、これはC・S・ルイスの『ナルニア国ものがたり』に登場するライオンの名前です。はじめて小社の社名をお聞きになられた方は「え、なに?」という表情をされることが多いです。それはそうですよね。しかし、社名を『ナルニア国』からとったんですと説明すると、「あー、読みました」「映画観ました」などと盛りあがることもあるので、記憶にはとどめていただきやすいのかなと思っています。設立は1992年、社員3名の出版社です。現在までの16年間で出版点数は70点強(版元ドットコムに登録済は46点。登録作業が遅くてすみません)ですから、新刊は多くありません(2006年の新刊は3点です)。

 さて、小さな出版社ですから、どうすれば自社で出版した本を多くの人に知ってもらえるのか、いつも悩みます。予算が限られていますので、新聞や雑誌に広告を出すことはまず無理です。もし新聞や雑誌に広告を出せたにしても、現実にはとても小さなスペースですので、すでに世に認知されているキャラクターの絵本ならいざしらず、絵本の魅力を上手に伝えることはむずかしそうです。
 現実には小社では、読者の目に直接ふれるマスメディアの広告は出していません。書店店頭で本をごらんくださることを願うばかりです。版元ドットコムへの参加をはじめ、インターネット上で情報を入手しやすいように努力していますが、正直なところ「ネットで絵本の情報を集めて購入の参考にする人がどれだけいるのだろうか」とも思います。
 今年アスラン書房は「アスラン書房新聞」をつくってみました。「新聞」という名前にしましたが、もちろんPR紙です。A3二つ折の表裏印刷(つまりA4の4ページ)、スミ一色。非常にアナクロです。どうせ予算は限られているのですから、<きれい>で<おしゃれ>な路線はとらず、ザラ紙・スミ一色・郵送という<おもいっきりローテク>で<暑苦しい>方法でアピールしてみようと思ったのです。これを全国の図書館、短大、500程度の書店、アンケートはがきをお送りくださった読者の皆さまに、出版目録や注文書を添えてDM送付しました。全ページ宣伝にはしないで、巻頭ページは翻訳家の金原瑞人先生に書き下ろしのエッセイを書いていただきました。また、以前から仲良くしていただいている岐阜県多治見市の「子どもの本の店・Book Gallery トムの庭」の月岡弘実さんにも寄稿していただきました。

(※各画像はPDFファイルにリンクしています。PDFで詳しくご覧下さい。)

 「アスラン書房新聞」にはモデルがあります。以前在籍していた出版社が出版梓会に参加していました。梓会会員社は「出版ダイジェスト」というタブロイド判新聞形式のPR紙を発行して図書館や学校や顧客に発送します。文字はびっちり詰まっているし、あまり良い紙ではないし、スミ一色です。しかしこれが意外に(失礼!)評判がいいのです。売上にもかなり貢献してくれた、という印象が私にはありました。かんがえてみますと、書籍の情報というものは、一般の読者の方には意外に入手しづらいものかもしれません。出版の情報といえばまず思いつくのは新聞広告ですが、新聞広告は基本的には、ある程度以上の規模の出版社が「プッシュしたい書籍」を「重点的に」かつ「限られた情報量」でアピールするものです。「出版ダイジェスト」の反応から、出版の情報を求めている人は実は世の中にはたくさんいるものだな、と私は強く思ったのです。

 おかげさまで「アスラン書房新聞」創刊号は、全国で30以上の書店さんで配布していただいたり(30のうち半分以上が「もっと送ってくれ」とわざわざ手をあげていただいた書店さんです)、一般の読者の方からも「知人に配る」と発送の依頼を頂戴したり、残り僅かになりました。ありがとうございます。
 ローテクがテーマの「アスラン書房新聞」なので制作はすべて中村のワープロ(OpenOffice 2.0)で行ないました。うげっと言いたくなる数々の不手際があるのですが、ラッキーなことにほとんどばれていないようです。4ページの「アスラン書房裏カタログ」のレイアウトは雑誌「ポパイ」の初期のレイアウトをパクらせていただきました(赤田祐一著『証言構成「ポパイ」の時代』太田出版を参考にしました。名著です)。
 アスラン書房は、なんかかんか色々やっています。もちろん地味なことだけでなく、直球ど真ん中剛速球の用意もしています。

 実は私(中村)は、アスラン書房で働くようになってからまだ間がありません。縁あって2006年の春からアスラン書房で働くことになりました。それまで複数の出版社で仕事をしてきました。おおざっぱに、営業を10年、編集・広告・制作で10年です。20年ほど出版業界にいることになりますが、まだまだ知らないことだらけです。版元ドットコムという非常にユニークな団体に参加できたことに感謝しています。
 アスラン書房をどうぞよろしくお願い申し上げます。

このエントリーをはてなブックマークに>追加