北海道の魅力的な地方議員たちを活写
自社の本のゲラを読んで、これだけ面白かった本はあまり記憶にない。弊社から今年6月に発行した、北海道の10人の地方議員たちの姿を描くルポルタージュ『議会に風穴をあけたやつら』のことである。
例えば、わずか25歳でトップ当選を果たした室蘭市議がいる。鉄鋼メーカーの影響力が強い企業城下町で、なんの後ろ盾もなく市議選に立候補した若者を応援したのは、しがらみにとらわれないリタイア組の高齢者たちだった。若者と高齢者が一体となった選挙戦は多くの人々をひきつけ、結果として史上最高得票でのトップ当選を果たす——。
そんな印象深いエピソードの数々もさることながら、最も心惹かれたのが、職業としての「地方議員」だった。まわりに流されず、おかしいと思ったことをどこまでも追求し、自分たちが暮らす町や村を少しでも良くしようと奮闘するその姿は、自分たちの生活を自分たちの手で作り上げるという、地方自治本来のありかたを再認識させてくれる。
と同時に、地に足のついた活動を続ける地方議員たちの素顔を知ると、政治アレルギーの強い筆者でさえも、「自分も議員になってみようかな」などと軽はずみなことを考えてしまうほど、議員として生きる彼らの姿が魅力的に見えてしまうのだ。
また、個性豊かな地方議員たちにシンパシーを感じ、長年にわたって交流を深めてきた著者だからこそ、現職として活動する議員たちの素顔を、ここまで明らかにすることができたに違いない。
地方に根をはり、地方で暮らす人々を幸せにしたいという想いで、日々奮戦する地方議員たち。その姿は、未来への希望を見出せない、全国の地方で暮らす人々に、勇気と希望を与えてくれるはずだ。