版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊

本とお金

今、出版業界ではISBNの13桁化の議論にかかわり始めたりしたんで、そんなことを書こうかとも思ったんだですが、事実経過を点検しなければならないので、やめました。
今回のテーマは、僕の大好きな「本とお金」です。

出版業に関する、具体的なお金のことを書いて自分の勉強に使わせてもらった「本」の紹介をします。

これを読まずして、編集を語ることなかれ。/松田哲夫/径書房/4-7705-0146-3/定価2200円+税
版元ドットコムの会員社・径書房の本です。
253ページから263ぺーじまで「編集は計算である」というコーナーは、ノートに写したり、自社でつくった本に当てはめて定価がそれでよかったのかとか、考えるのに使わせてもらいました。
著者が、会社(筑摩書房)倒産のひまな時期に、本の原価計算を「計算」した話が載ってました。
たとえば、井上ひさし著「新釈遠野物語」などを具体的に例にして、です。
取次への出し正味(卸率)を67%、原価36%、広告宣伝費6%、固定負担率(家賃・税金・給料など)10%とした場合の損益分岐点は77〜78%になる、などと言うことを、その実際の計算根拠・費用額まで明らかにして書いてくれてます。

本の定価を考える/発売・新泉社/編著・出版流通対策協議会/ISBNなし/定価1800円+税
版元ドットコムの組合員の青弓社・矢野さんが、119ページ〜132ページに「本の定価のしくみ」を書いています。
これまた具体的な数字入り。
四六判・上製・カバー装・208・オフセット印刷・発行部数3000部の場合の、本文組版代・本文印刷代・本文用紙代・付きもの製版代・付きもの印刷代・付きもの用紙代・カバー加工代・製本代・編集費、などの金額をあげてます。
驚くべきことに、当時(奥付発行日は1992年1月1日)の本文組版代は237,400円でページ単価にすると1,141円、今の2倍かな、。

メディアアクセスガイド ライター・フォトグラファーのための売り込み・持ち込み情報源/MAG編集委員会編/現代人文社/4-87798-075-X/定価2200円+税
またまた、版元ドットコムの会員社・現代人文社の本です。
これは逆にライターたちが調べた出版社や雑誌の印税・原稿料の「実績」報告の本です。
「オレンジページ」の原稿料が、ページ35,000円、だとか、「AERA」がページ単価50,000円が基本、とか(支払うことを考えたらクラクラします、もらうことを考えたら、当然だと考えそうですが)「格闘技通信」のページ単価8,000円〜10,000円/400字あたり2,000円、とかいう数字が並んでます。
実は、この続刊が出ていて、それにはポット出版のこともその規模以上に多く書かれてます。書いたひとはわかってるし、「書いたね〜〜」と直接聞いたりもしたんですがね(笑)。さらに、ほかの版元ドットコム会員社のことも結構載ってました、よ(笑)。

売れない本にもドラマがある・ある小出版社の16年/柴田敬三/ほんの木/4-7752-0001/定価1200円+税
またまたまた、版元ドットコムの会員社(最近の参加)のほんの木の本です。
この本には、ほんの木がその時点(奥付発行日は2002年10月20日)で出版した130点の、「出版のいきさつ」を書いてあます。
特に僕が注意深く読んだのは、各本のいきさつの最後に書いてある、初版発行部数と刷りと実売と定価。
ずっと暗算しながらよんだ。
正直に告白すると、増刷増刷と続いているのを読むとネタミ、実売が少ないと「よしよし、ポットの本とかわらんじゃん」と喜び、ながら読みました。
一方、本の「売れかたの傾向」を一生懸命につかもうとして読んだようにも、記憶してます。

ひとり出版社「岩田書院」の舞台裏/岩田博/無明舎/4-89544-343-4/定価1,600円+税
やっと版元ドットコムの会員社以外の出した本です。
この本には、さまざまな「数字」が随所にでてきます。
たとえば、毎月読者に原則無料で送ってる「地方史情報」というPR誌の発送数が5,300、で、それに郵便振替用紙をはさんで送金を呼びかけたら1998年が1274人、1999年が1355人入金してくれて、25%の割合だ、とかです。
この他にも、ある年の売り上げと支出、をはじめ、ほんとに率直に数字をオープンにしてます。
僕は、こうしたオープンな人(の教えてくれる数字)が大好きなんです。

さて、ポット出版は、取次口座を持たないときには他社に発売代行をしてもらってまして、最初にでてきた径書房と新泉社がその2社でした。

このエントリーをはてなブックマークに>追加