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本、つくっちゃいました

 もろもろの事情により亜璃西へ入社して早一年。私もついに、編集担当として本を一冊世に送り出すこととなった。しかも今話題の旭山動物園本を。しかも写真集を〜っ!!
 その名も「旭山動物園写真集 本日開園、あさひやま」。7月16日に刊行されたばかりのピカピカの新刊である。
 制作することが確定したのは今年の一月初め。その時点で、カメラマンには動いてもらっていたのだが、肝心の担当編集者はまだ決まっていなかった。
 「誰がやるのかなぁ? まさかボク? イヤイヤ、それはないな」。入社一年目のペーペーである私は、お気楽にもそんなことを考えていた。なもので、写真集の編集会議中にも、「アイドル写真集のような動物園写真集を作ろう」とか「1000円以下じゃないと売れないっすよ」などなど、適当かつ勝手な発言を繰り返していた。
 んが、そんなお気楽発言の数々で「こいつ、やる気があるぞ」と思われたのかどうか、4月のある朝、弊社編集長から「この本は、お前が編集を担当しなさい」とのお言葉が…。
 それから発売までの3ヶ月弱。書籍編集に関して、まったくの素人と言っていい私が、どのようにして刊行までこぎつけたのか。しみじみと本作りの面白さと大変さを振り返ってみようと思う。…と思ったけど、そんなこと書き始めたら原稿用紙1000枚を超える大作になってしまいそうなので、本をつくってみて面白かったところ、大変だったところを小学生の自由研究風に、箇条書きにしたいと思う。うん、そうしよう。

【面白かったところ】
1●自分で物事を決められる楽しさ
亜璃西に入る前、編集プロダクションで働いていた私は、誰かの指示であったり、各出版社の編集マニュアルに沿って仕事を進めてきた。それが自社出版物の書籍編集担当ともなると、なんでもかんでも自分で決めることができる(上司の了承を得なければいけないけど)。これは快感だった。

2●モノを作る喜び
今まで、ラフレイアウトや取材、作稿、校正などはやってきたが、それらはあくまでも本をつくる作業の一部分でしかない。それが書籍編集ともなると、最初の企画段階から取次への搬入まで携わることとなる。最初はあやふやなイメージでしかなかったものが、徐々に形となり最後には一冊の本に仕上がる。そしてそれが書店に並ぶ。本が出来たときは、まるで生命の誕生のような感動を覚えた。

3●打ち合わせと称した数々の飲み会
今回、初めての書籍編集担当ということで、制作にあたっては弊社先輩社員の意見を、色々と拝聴させていただいた。場所は会議室、ではなく近場の焼鳥屋など。飲み初めは喧喧諤諤と意見が交わされるが、中盤になると話が横道に逸れだし、会計の頃には、何の目的で集まったのかも分からなくなるほど全く関係のない話をしていた。しかしそれも、先輩諸兄の、「あまり気張らなくてもいいんだよ」というメッセージだったと、今では解釈している。みなさん、ありがとうございました。

4●その他、色々とある

【大変だったところ】
1●なんでもかんでも自分で決めなければならないこと
これは「面白かったこと、その1」と同じだけど、楽しくもあり大変でもあったということで。当初は「誌面の構成やら写真選びをすればいいんでしょ」と甘く考えていたがさにあらず。使う紙の種類や厚さ、印刷所への見積もりのお願いなどなど、もうやること決めることが一杯。しかもマットPPがどうしただとか、パミスがどうのとか、菊判がああしてこうしてとか、交わされる言葉もチンプンカンプン。今回、そこらへんはほとんど上司に決めていただいたのが実情で、もっと勉強しなければいけないな、と思った。

2●専門用語が分からない
その1でもチラっと触れているが、とにかく印刷所担当者との会話にでてくる言葉が理解できない。プルーフって何? 初校となにが違うの? コンセって? セントラルリーグが混戦ってこと? 担当者との打ち合わせ中、分からない言葉が出てくるたびに、とりあえず知っている風に対応はしたものの、頭の中は?でいっぱいだった。ただ、分からない言葉は、打ち合わせ後に上司から教えてもらったので、今はもう分かります。はい。印刷所の方には色々とご迷惑をおかけしました。すみませんでした。

3●打ち合わせのたびに二日酔い
焼鳥屋での綿密な打ち合わせのたびに、次の日は決まって二日酔いに。仕事が立てこんでいるというのに、午前中は「アーッ」だの「ウーッ」だの唸っているだけ時間が過ぎ、夕方近くにようやく復活するという始末。間違いなく、この期間でアルコールへの依存度が高まったと思う。今年の健康診断がコワイ。

4●その他、色々と大変だった。

 まっ、こんなところでしょうか。
 最後に、少しマジメな話を。
 今回の書籍編集初体験で、もっとも勉強させてもらったのは、本を作る上での心構えと姿勢。制作当初、写真集の構成案を編集長に見せると「それは亜璃西にしかできないことなのか?」と何度もダメを出された。地方の小さな出版社が生き残るためには、大手のマネをしていてはいけない。それは重々分かっているが、それじゃ「亜璃西にしか作れない本」はたまた「亜璃西らしさ」とは何なのか。そこでずっとつまずいていた。ただ、それをおざなりにしてはいけないと、編集長は気長に私から構成案があがってくるのを待ってくれた。「ただ売れればいい、という本を作るなら亜璃西から出す意味がないし、そんな本はすぐに消えてしまう。一本筋の通った本にしようじゃないか。考えることをやめちゃダメだ」と。
 結局「これで行こう!」とGOサインがでるまで、半月ほどかかった。正直、〝亜璃西でしか作れない本〟に仕上がったのか、今もよく分からない。ただ、制作中に「ま、こんなもんでいいだろう」と思ったことは一度もなかった。どうすれば、よりいい本になるのか、それを校了までずっと考え続けた。

そんなこんなで生まれた一冊。はっきりいって我が子のように愛しい。いや愛しい過ぎる。なんなら目に入れたいくらいだ。

旭山動物園写真集「本日開園、あさひやま」。自分で言うのもおこがましいのですが、ホントいい本です。書店で見かけた際は、ぜひ手にとってページを開いてみてください。きっとあなたも、引き込まれるはずです。

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