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小さな版元の日常、ほか

小さな版元に営業マンを一人置くことは版元にとってなかなか難しいものです。
編集者が営業マン的役割を兼任している版元もずいぶんありますが、私のバヤイは根っからの営業なので、編集部には営業の仕事はほとんど任せていません。
ということは、私は出版営業と名の付くあらゆる事を今までやってのけてきたことになります。
営業、といっても、ただ単に外回りをして注文を取りに行き利益を上げる、そればかりでは決してないのです。
ちょうどいい機会ですので、版元ドットコムのメールマガジンをお読みの書店さんに、小さな小さな版元の営業マンの日常を見ていただきましょう。
日常の出荷は、パートのお姉さんがしてくれるので、私は夕方、何がどのくらい出ているのか、売上はどのくらいなのか、をチェックします。
そうして、小なりとはいえ出版社も企業ですから、売上を上げただけではいけません。回収もしなければ企業活動は成り立ちません。取次さんに対して、いかに取り逸れのナイようにしなければいけないかを締め期の来る度に目を皿のようにしてチェックしまくります。
もちろん、返品の入帖条件に相違があれば即刻直させ、入金に齟齬があったら、即取次に電話です。受け取る金はなるべく多く、払う金(歩戻しとか)はなるべく少なく、が取次請求と回収の心得です。
出版活動は、既刊のみを販売すればヨシ、というわけには行きません。新刊を発行しなければなりません。ということで、新刊見本を取次に納品します。無論納品する前には数ヶ月前から新刊の予約スリップを獲得していなければなりません。その仕事も営業マンの仕事のひとつです。
直接書店さんに訪問したり、ファクシミリで販促チラシを送信し、さらに電話で書店さんにアクセスし、予約を取ります。そのチラシも私が作成します。長くこういう事をやっていますのでPCのスキルは多少持っています。
話がそれました。営業マンは取次の窓口でなるたけ『適正』な配本を求め交渉します。翌日取次さんの仕入部数が確定されるのですが、多くの場合版元の意に副う数は出てきません。それを土壇場で変えるのも営業の仕事ですが、強要して委託部数を変えるよりは書店さんに直接連絡して追加を取るほうがはるかに利口なのであまりそれはしません。
むしろ、取次窓口との関わりは、取引条件の交渉、いや、『改悪』の阻止をすることが小さな版元営業マンの責務かもしれません。
他にも色んな雑務がひしめいています。
さっき言いました、ファクシミリでの販促、業者に任せているとはいえ、FAX番号のメンテナンスや販促に効果的な書店さんのカテゴライズ、これは営業のセンスがナイと難しいかもしれません。チラシ作成にもなるべくアイキャッチを行うべく、ちょっとは工夫を凝らしたりとかしましたけど・・・。
さらに、読者がおそらく最も目に付くだろうホームページの更新、さらには版元ドットコムなどのサイトへ送るデータの更新…このあたりは私がある程度尻を叩かなければアップできませんのでこれも私の仕事でしょう。
さて、出版社が世に出した本にも色々あって、発行した途端にバカ売れする本、じっくり、ゆっくり、動いていく本、季節や状況で動く本、まるっきり動かない本、などなどあります。
それらの在庫管理もきちんとしなければ、営業マンたるもの、経営責任の幾ばくかも問われなければなりません。…ま、もっとも私はヒラでしたので資料を提出するに留まってますが。売上成績に応じた形での処分などに関する提言はしてましたけど。
編集者にとっては辛い辛い、もちろん営業にとっても辛い、断裁を決行するのも営業の役目です。
年に一度のイベント、常備営業。常備をいかに多くの書店さんに置いてもらえるか、それを至上命題として春先のある数週間、書店訪問やら電話営業やらをしています。
今年は訪問はさほど出来ませんでしたが、電話である程度確保できたので、ま、良しとしましょう。
版元の皆さんにはこのくらいのことは普通だよ、と言われることは、まあ、覚悟してますけど、何故今回このようなことを書こうと思ったかというと、私がこれらの仕事を今会社にいる人々に引き継がせようとしているのです。
誰がどのようにこれらの仕事を続けていくのか、どうも未知数です。

さて、突然ですが、私・小林は、亜紀書房を退職することになりました。
今までのご厚誼に深謝し、謹んで版元ドットコムならびに業界各位様に御礼を申し上げる次第です。
私自身まだ身の振り方は決まってはおりませんが、向後も出版業界で口に糊したく考えていますので、お声かけ下されば幸いです。

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