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「私らしい生き方」を決めるのは私のはずだけど

とにかくめまぐるしい勢いを感じる.ここ数年で,矢継ぎ早に,日本という国のあり方の根本を問うような政策,施策の改変が打ち出されている.それは,障害者福祉の分野でも同じだ.
2004年6月には,経済財政諮問会議の「骨太方針2004」の中で,障害者福祉に関わる部分としては,「『人間力』の抜本的な強化(障害者の雇用・就業,自立を支援するための施策の充実強化)」が示された.10月には,社会保障審議会障害者部会にて厚生労働省から「今後の障害者保健福祉政策について(改革のグランドデザイン案)」が示された.今までの障害者福祉施策の大きな見直しで,障害者の今後の暮らしに大きく影響するものだ.
案の内容については,障害種別をこえた福祉事業に関する法(2005年2月国会提出の障害者自立支援法)が作られるなど「よい」と思われる部分もあるが,気がかりな点も多い.その気がかりな点の中のほんのいくつかを挙げると,利用者の費用負担を「定率負担」(応益負担)に切り替えることがあり,負担を求めるにも関わらず「所得保障」にまったく触れられていないことがある.
また,大規模な見直しにも関わらず,当事者のニーズや生活実態などの基礎データが不備であるままに政策検討がされ,半年あまりの審議でこの案を出すという性急さが気にかかる.そんなに性急に結論が出せる問題なのだろうか.何をあせっているのだろう.他の分野と同様に,とにかく障害福祉の「財源が無い」「財源が無い」と国から声高に叫ばれるのだけれど……

たまたま1人の人間が障害や疾病を持ったがゆえに,大きく生き方に制約を受けてしまうこの世の中.だが,どんな状態であっても1人の人間として「健康で文化的な最低限の生活」を送り,「私らしく生きたい」ということは,決して過ぎた贅沢ではない.それを保障するのが,障害福祉制度の根幹だったはずだ.今回の案がどうなっていくか,まだ分からない.だが,「私らしい生き方」を阻むものになっては本末転倒だろう.
「私らしい生き方」を決めるのは私のはずだけど,それを阻むものは何か.その基本的な視点で,めまぐるしい情勢の変化の背景を見たい.「私らしく生きる」ためには,他人事などない.

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