出版社−取次間の締め日を5日きざみにせよ!——新刊の委託搬入集中=即返品を減らすために
本が売れない
——新刊の点数を増やして売り上げをキープするしかない
——締め日の 25日までに搬入して今月の売り上げをたてろ……。
いまさら言うまでもない、搬入集中=即返品の構造である。
部数で売れなくなるにつれて、この傾向がますます加速している。20日から月末までに、全体の45%が搬入されているのだ。その結果、弊害も多い。なによりも返品率が上がって、取次は書店への配本のためにアルバイトの確保で人件費もふくらんでいることだろうし、出版社からの請求書も集中して残業代などがかさんでいるのかもしれない。書店は書店で、新刊の洪水をさばくのに精力をさかれ、段ボール箱を開けただけで(ときには開 きもせずに)取次に返品する事態を招いている。
「なんとかしてくれよ!」
——誰もがなげきつづけて久しい。
解決策を提言しよう。出版社と取次との間の締め日を、5日・10日・15日・20 日・25日・末日に振り分ければいいのである。A社とB社は5日締め、C社とD社 は10日締め……と分散すれば、年間を通じて大きな波動はなくなり一定の数値を維持するのである。取次−書店間の取り扱い業務量は平均化され、即返品率はいまより も減少することはまちがいない。
この合意のもとに、たとえば1年間の猶予をみて「2002年4月期から実施する」 という方針を徹底すれば、人件費ほかの固定経費や制作費などの資金繰りの対策を立てるにも時間は十分のはずである。 「頭(商品の内容)は革新的でも、足腰(流通や、その改革への取り組み)は保守 的」と指摘され自認もしてきた出版業界だが、この程度の流通改革・流通対策にさえ 反対するような社は公表してもかまわないし、それさえ実現できないようならば、死期を待つだけになってしまうのはあきらかだろう。