版元ドットコム

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版元ドットコム、第2章へ!

版元ドットコムは会員集会を5月28日に開催した。今回の参加者は、会員社24社45人、会友6人、会員外が40人。90人を超えるにぎわいで、会場に準備したイスもほぼ満席だった。会員集会後に行われた懇親会への参加者の数も64人と昨年以上だった。

事務局の日高さんが報告したように、版元ドットコムはその立ち上げ以来順調に成長している。今回の会員集会で改めて実感したのは、まる4年を経過した版元ドットコムが、新しい段階に入ってきたということである。
書誌情報を版元みずから提供すること、書籍情報がインターネット上にきちんと存在して、検索をすれば誰でもアクセスできる状態をつくりだすことを手がけてきた版元ドットコムは、その当初の目標、つまり「やらなくてはいけないこと」を、この4年でほぼ達成したといえる。これからは、いままでに達成したことを発展させて、さらに「何ができるのか」を考える時期になっている。
この1年間に行われた新しい試みを見ても、書店へのファクス営業の試みや、会費軽減の検討、ドットコムのデータベースを使った図書目録の自動組版の実現など、バラエティに富んでいる。
こうした試みは、これからの版元ドットコムの進むべき方向性を探る動きだといえる。最初から百パーセントの成功を収めるのは難しいが、会員である小出版社をサポートするうえで必要なことであれば、いろいろな可能性を試すべきだ。逆に会員社は、自分たちはこんなことをしてほしいという要求を、遠慮せずに事務局・幹事社にぶつけてほしい。一つひとつの会員社の積極的な参加こそが、版元ドットコム全体を活性化させるのだから。

会員集会の司会を務めた第三書館の北川さんは、これからの出版社のひとつのモデルとして、書籍を1冊のパッケージとして提供するだけではなく、読者のほしい内容・情報だけを必要に応じて取り出して提供することになるだろうと強調していた。現在の出版を取り巻く環境の激しい変化を考えると、デジタル時代に即したこのような出版メディアのあり方が一般的になるのは、そう遠いことではないだろう。こうした時代に対応していくために、いまできることを真剣に考えなければならない。
デジタル技術のもたらす変化を追い風と考えることができれば、小回りのきく小さな出版社が、大手の出版社と同等の存在感を持つことはけっして不可能ではない。懇親会で、ある取次会社の参加者が、「大手出版社のなかにはいまだに書誌情報を手書きの紙ベースで送ってくるところもある」と言っていた。新しい環境に適応しようとする意志の有無は、企業規模とは関係がないはずだ。書誌情報の円滑な流通を心がけることで、読者や市場、さらには取次や書店といった、本を届ける人たちの理解と支持を、いままで以上に集めていきたい。
事務局の沢辺さんが版元ドットコムサイトのアフィリエイトに関して述べた「本はどこで売れてもかまわない」という考え方は、これからますます重要だと思う。比喩を許してもらえるなら、販売面でも機能面でも、版元ドットコムはリナックス型のシステムであってほしいと思う。オープンなかたちでほかのシステムとうまくつながり、共有されることで、より発展していくような。

業界紙の記者が、「いま、出版業界の集まりで、回を追うごとに人が増えているのは、NET21と版元ドットコムだけです」とあいさつをして、懇親会の会場をわかせていた。これからも版元ドットコムから目が離せない。

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