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売れるということはどういうことなのか

6月末に北海道で老舗書店の会長をしている同級生のSさんにお会いした。まだ年齢的には会長になるような年でもないが社長業は弟さんに譲り、対外的な仕事や日本書店商業組合連合会の仕事に情熱を傾けているようだった。そのSさんがこぼしていた。「北海道の経済は冷え切っているよ。本の売り上げも年々落ちていく。おまけに近くに大書店のチェーン店が次々にできて、新古本屋も増え、狭い商業圏だから客の奪い合いになっている」と。この書店は、東京でいえば紀伊國屋書店のような書店で、地元では古くから市民が愛着を感じている書店だ。しかし今はどうだろう。厳しい現実を前に苦戦を強いられているらしい。

出版業界も書店も斜陽産業になりつつあるようだ。もちろん例外はあって、ベストセラーを出しつづけている出版社もある。今でいえば草思社、サンマーク、幻冬舎、三笠書房、角川書店など、勝ち組といわれるところ。しかしベストセラーは1社で独占できるものではないようだ。10年で時代はガラリと変わるからだ。 9月20日小社発売予定の『戦後名編集者列伝』(櫻井秀勲著)には、光文社、青春出版社、KKベストセラーズ、筑摩書房、新潮社などの出版社で、じっさいにベストセラー本をつくり出してきた編集者の光と影が描かれている。「これを読んで売れるということはどういうことなのかを学んで下さい」というのが著者のメッセージだが、これはなによりも小社に向けた鋭い批判である。著者の櫻井秀勲さんには何度も「編書房はいまのままではダメですよ。売れる路線の本を出版しなさい。会社をささえる柱がないじゃないですか。女性モノ、実用書、人生論、いろいろあるでしょう。何かいまの路線<出版業界モノ>以外の鉱脈を見つけなさいよ!」と言われつづけている。だが、そのたびに考え込むのである。そう簡単にはいかないから悩みは深い。早く「これだ!」というものを見つけて、ロングセラーを出版していきたいが、ベストセラーとは無縁の路線でこれからも歩んでいくだろう。

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戦後名編集者列伝——売れる本づくりを実践した鬼才たち』(定価:1900円+税、上製、300ページ)は、頭脳とアイデアで勝ちぬいてきた編集者三十数人(文藝春秋・池島信平■光文社・神吉晴夫■マガジンハウス・清水達夫■青春出版社・小澤和一■新潮社・斎藤十一■KKベストセラーズ・岩瀬順三■筑摩書房・布川角左衛門■角川書店・角川源義■集英社・長野規■河出書房・坂本一亀■講談社・内田勝■サンマーク出版・植木宣隆■草思社・加瀬昌男■海竜社・下村のぶ子■噂の真相・岡留安則■三笠書房・押鐘冨士雄■福音館書店・松井直■幻冬舎・見城徹 など)の闘いの軌跡。
「図書館の学校」(図書館流通センター発行)で大好評だった人気連載を大幅に加筆したもの。戦後出版界の流れを知るうえで資料的価値もある。ご一読ください。

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